藤ふ本も真まこと7じと独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)主任研究員わるさまざまな状況が変更される年齢や、仕事から引退する年齢をルール化することの意義や課題を考えていきたいと思います。2労〜世界各地における多様性〜働者が一定の年齢=定年に達したときに、労働契約を終了する制度が定年制です。労働契約を終了することで、労働者がいままで働いていた企業などから退出することや、あるいは職業生活から引退することを意図した制度といえます。日本では以前55歳定年制が慣行として広がっていましたが、1970年代半ばから定年延長政策が進められ、多くの企業もこうした流れに対応して次第に60歳定年制が主流になっていきました。1994(平成6)年の高年齢者雇用安定法の改正により、60歳が「法定定年」となり、以降は60歳未満を定年とした定年制は無効とされています。地域は、アジアに多く見られます。そしてこれらの国や地域では、近年、かつての日本と同様に法定定年の年齢を引き上げる動きが見られます。韓国では55歳が法定定年でしたが、2013年4月に、「雇用上の年齢差別禁止および高齢者雇用促進に関する法律」の改正案が成立し、公共機関や地方の公社・公団、従業員300人以上の企業では2016年1月から、従業員300人未満の企業や政府・地方自治体は2017年1月から、60歳定年制を実施することが義務づけられました。また台湾では、2008年に労働基準法のなかの定年退職に関する規定が改正され、改正後は退職を強制できる年齢が65歳に引き上げられています。シンガポール、マ日本のように法定定年を決めて運用する国や12はじめに022(令和4)年に実施された厚生労働省「就労条件総合調査」によると、常用雇用者「定年」は、働くことにかかわるごく一般的な決まりごととして存在し、とらえられています。しかし、国際的に見ると日本におけるような定年の位置づけは、決して一般的とはいえません。ここでは、加齢と就業継続・引退との関係についての世界各地におけるルールや、日本の企業や労働者にとって定年がはたしている機能を見ていくことで、日本における定年の特徴を明らかにしていき、さらには定年やそれに類似した再雇用年齢の上限といった形で、労働にかか定年の位置づけ94・4%であり、日本企業で働く人々にとって30人以上の企業で定年制を定めている企業は特集どっちがいいの?「定年延長」と「再雇用」エルダー総論「定年」の意味を考える
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