就業規則は周知をするを交わしますが、必ず書類を交わすことが必要ではなく、一定の状況で合意することによって契約が成立します。労働契約法の該当する条文を見てみると、「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」(労働契約法第6条)となっており、労働契約書という書面で契約をしない場合でも互いが合意をすれば成立します。また、一般的に労働契約書で契約する場合であっても、労働条件の詳細まで記載している例は少なく、就業規則によって統一的に労働条件を設定することが行われています。そこで、労働契約書と就業規則の関係を整理すると、実際に使用者が定めている就業規則を労働者に周知させていた場合は、就業規則の内容に達しない労働条件を労働契約書などで合意していても、その部分は就業規則の労働条件に引き上げられます。ただし、就業規則よりも個別の労働条件の合意内容が有利な場合は、就業規則によって労働条件が引き下げられることはなく、個別に合意した内容がその労働者の労働条件になります(労働契約法第7条)。労働条件のうちの労働時間について、使用者と再雇用社員の認識が違っていたことで、トラブルになった例がありました。そのケースでは、1日の労働するべき時間について双方の言い分が違うので、使用者と労働者に別々の機会を設けて話を聞いてみると、使用者側が再雇用時の面接のときに、就業規則より有利な労働条件を伝えていました。面接をした代表者が「再雇用の嘱託社員の所定労働時間は8時間ですが、効率よく仕事をした日は、少しくらい早く帰ってもいいですよ」と伝えていたのです。その会社には再雇用社員就業規則があり、早退すると賃金控除をすることが書かれていました。しかし、少し信じられないかもしれませんが、会社側の面接者がその内容を認識しておらず、それに加えて、どれくらいの時間ならば早く切り上げてよいのかと、早退控除の扱いをどうするかについて説明することなく、「少しくらいなら早く帰っていいですよ」と話したことが後になってわかりました。一方で、定年後は、できれば短い時間の勤務に切り替えたいと考えていた再雇用社員は、「これまで会社に貢献してきたのだから、新しい再雇用契約の月額賃金は早退をしても賃金控除されないのだな」と受け取ったようです。よりも有利な労働条件で合意が成立していたかどうかを検証しなければなりません。状況によりますし、実際には「言ったか、または言っていないか」という証拠がない、たいへんむずかしい問題になります。せん(労働基準法第106条)。雇用形態別に複数の就業規則を制定した場合、再雇用社員に正社員就業規則を見せないというようなことはできません。そもそも、正社員と再雇用社員の労働条件に差があるときなどは、差があることについて合理的な理由を説明する必要があります。このトラブルになったケースでは、就業規則周知の方法は、例えば、えつけることし、かつ、各作業場に労働者がこの記録内容を常時確認できる機器を備えること9特集高齢者雇用と就業規則入門エルダー(2)書面を労働者に交付すること(3) 磁気テープ、磁気ディスクそのほかに記録(1) 常時各作業場の見えやすい場所へ掲示、備66就業規必則要はが労あ働り者まへす周知させなくてはなりま55労働契労約働は契、約契と約就の業一規つ則でのす関か係らは労働契約書
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