などの方法により、労働者が知ろうと思えばいつでも就業規則の存在や内容を知り得るようにしておく必要があります。「労働者に周知させていた」という状況のなかには、新たに労働契約を締結する新入社員についても、労働契約の締結と同時に周知をさせていた場合も含まれるものとされています(厚生労働省「労働契約法のあらまし」12ぺージ※)。なお、労働契約の締結が内定日なのか入社日なのかという判断があります。これについては、採用内定の状況において労働契約が成立しているという解釈がありますので、採用内定の段階で就業規則を周知させておかなければならないと考えられます。利益となる場合は、合意をしたうえで変更しなければなりません。就業規則の変更によって労働契約の内容を変更するときは、労働者と使用者がその変更内容に合意することで変更することができます(労働契約法第8条)。さらに、使用者は、労働者と合意をしていないのに、就業規則を変更することによって労働者の不利益になる労働条件に変更することはできません(労働契約法第9条)。実際には、労働環境をとりまく変化は想定されるものですから、就業規則を変更することは少なくありません。労働者に不利益となる就業規則の変更によって、一方的に労働条件の内容を不利益に変更することはできませんが、一定の要件を満たしていると就業規則の変更によって労働条件を変更することが可能になります。労働契約法第10条で次のように定められています。長い条文ですが、そのまま引用すると、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。」となっています。就業規則の変更の内容が不利益な変更になるときは、本来労働者と個別に合意しなければなりません。しかし、一定の要件のもとに変更した就業規則は有効な内容になります。そのためには、変更前の就業規則を労働者に周知させていることはもちろんですが、変更後の就業規則も周知をさせることが必要ですし、不利益の程度、労働条件の必要性、変更後の内容の相当性を整理したうえで労働組合などに、ていねいに説明を行うことになります(図表3)。などに応じて、随時見直しが必要になることはいうまでもありません。最新の内容が記載されているように就業規則変更を適切に継続して行っていただきたいと思います。2023.910図表3 使用者が就業規則を変更して労働条件を(不利益に)変更した内容が有効になるときとは● 変更後の就業規則を労働者に周知させること● 就業規則の変更が次の事情と照らし合わせて合理的なものであること☆ 不利益の程度、労働条件変更の必要性、変更後の内容の相当性☆労働組合等との交渉の状況☆ その他の就業規則の変更にかかわる事情※ https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/leaf.pdf※ 筆者作成77就業規就則業の規内則容をを変変更更すするるとこきとで労働者が不88就業規就則業は規、則法の令改改正正や人材活用の方針変化
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