当社では、定年後の再雇用者は数人とまだ多くはありませんが、正社員の就業規則とは分けて別の就業規則を作成しなくてはならないのでしょうか。正社員と労働条件が異なるところがあためにも再雇用者用の就業規則を正社員用とは分けて作成することをおすすめします。パーソネル・ブレイン二宮事務所所長社会保険労務士和田人事企画事務所所長社会保険労務士二■宮■孝■■■ ■■■■和■田■泰■明■いわゆる正社員のみならず定年後の再雇用者、パートタイマー、臨時従業員、アルバイトなどの非正規社員も含め、常時10人以上の従業員を雇用している事業所は、就業規則を作成し労働基準監督署に届け出なくてはなりません。就業規則は、まず正社員用のものを念頭に置いて作成することになると思われますが、例えば、雇用形態別に労働条件の違いがあれば、「~に関する規定は、再雇用者およびパートタイマーには適用しない」などと一つひとつ細かく明記することになります。ただし、労働条件の違いが多くなれば、条文も増え解釈がむずかしくなってきます。これにより、再雇用者など正社員以外の従業員にとっては、労働時間や手当など、どの項目がどこまで適用されるのか、適用されないかが、わかりにくくなってしまいます。このこともあって、雇用形態別の就業規則を設けた方がよいことはおわかりになると思います。このように雇用形態別に作成することによって、再雇用者など特定の雇用形態の従業員については、自分たちに適用される就業規則が簡潔になって理解しやすいものとなり、クレームやトラブルを未然に防止することにも結びつきます。る就業規則は、個々の雇用契約書よりも法的に強い効力が認められています。例えば、再雇用者やパートタイマーなど特定の従業員に対する雇用契約書では「退職金の支給はない」となっていても、一つの就業規則しかなく、これには「退職金を支給する」との記述があり、再雇用者に対する退職金の支給の有無が明記されていない場合にはこの就業規則が優先されることとなり、正社員と同様に退職金を支払わなくてはならないと解釈されることにもなります。すなわち、就業規則で定める基準に達しない個別の労働契約は無効となり、就業規則で定める基準が適用されることになるわけです。一方で一部の再雇用者に対して就業規則を上回る労働契約を結ぶことについては認められます。また、労働基準法によって義務づけられてい21特集高齢者雇用と就業規則入門エルダーAAれば、クレームやトラブルを未然に防ぐQ1Q1解説 解説 33高齢者雇用と就業規則Q&A
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