エルダー2023年9月号
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契約社員について、就業規則に一定の年齢(60歳)以後は契約の更新をしない旨の定めをすることは可能でしょうか。それとも、契約社員を対象とした継続雇用制度を導入しなければ、高年齢者雇用安定法違反となるのでしょうか。  就業規則において、継続雇用しないことができる事由を、解雇事由または退職事由の規定とは別に定めることは可能ですか。高年齢者雇用安定法第9条による雇用対象としています。したがって、期間に定めのある雇用契約を結ぶ契約社員は同措置の対象外と考えられ、一定の年齢︵60歳︶以後は契約の更新をしない旨の定めをすることは可能であり、そうした定めをした場合でも、高年齢者雇用安定法違反とはなりません。就業規則の解雇事由または退職事由と滑に遂行できるよう必要な配慮を行うことが求められることになります。一般的に契約社員とは、期間の定めのない労働契約を交わす労働者(正社員など)との対比で、期間に定めのある労働契約(=有期労働契約)を交わした労働者をさします。フルタイムなら「契約社員」、短時間・時給制なら「パート」や「アルバイト」など、企業によって名称を分けていることも多いですが、ここでは有期雇用契約の1-11)に対し、「高年齢者雇用安定法第9条は、労働者全般を「契約社員」と呼ぶことにします。定年退職制度は「期間を定めない雇用契約」に適用されるという理解が一般的です。そのため「期間に定めのある雇用契約」を結んでいる契約社員にはそぐわないとされています。高年齢者雇用安定法第9条による雇用確保措置は、期間の定めのない労働者が65歳未満で定年を迎えた場合に、継続雇用の機会を与えることを目的としています。したがって、期間に定めのある雇用契約を結ぶ契約社員は同措置の対象外と考えられます。この点については、厚生労働省の高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)※(以下、「Q&A」)においても、「有期契約労働者について、就業規則等に一定の年齢(60歳)に達した日以後は契約の更新をしない旨の定めをしている場合は、契約社員を対象とした継続雇用制度の導入等を行わなければ、高年齢者雇用安定法第9条違反となるのですか」との質問(Q主として期間の定めのない労働者に対する継続雇用制度の導入等を求めているため、有期労働契約のように、本来、年齢とは関係なく、一定の期間の経過により契約終了となるものは、別の問題であると考えられます」と回答しています。一方、契約社員をめぐる法整備には、2013(平成25)年4月1日施行の「改正労働契約法」における「無期転換ルール」があります。これにより、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換することが義務化されました。は「期間の定めのない労働契約」を結ぶことになるので、就業規則に定めることによって定年制度を適用することとなります。さらに、65歳未満の定年制度を導入する場合は、高年齢者雇用安定法第9条による雇用確保措置の対象にもなります。業は、転換を見すえた就業規則の改訂・新設などによる対応が必要であり、定年制を導入する場合は、雇用確保措置の内容もセットで考えることが求められることになります。このルールによって無期転換をした契約社員無期転換の可能性がある契約社員を抱える企23特集高齢者雇用と就業規則入門エルダー※  https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/qa/Q4Q4Q3Q3AA同じ内容を、継続雇用しない事由としてAA確保措置は、期間の定めのない労働者を

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