25エルダー食文化史研究家●永山久夫キノコの季節がやってきましたビタミンDはスーパー栄養素日本は、山の恵みが実に豊かです。木立ちが色づくころになると、落ち葉の下には頭をもたげてキノコが育ち、朽ち木や老木などにも、キノコが群がって生えてきます。キノコは、健康に役立つ特殊な成分に加えて、味がよく、干して保存しだしにも使用するなど、昔から重宝されてきました。特に味がよく出るのがシイタケ。秋山のナラやクヌギなどの枯木に発生しますが、最近は、人工栽培が普及し、スーパーなどにも年中出まわっています。和食の四大だしというと、カツオ節、昆布、煮干し、干しシイタケ。干しシイタケのうま味成分の中心はグアニル酸ですが、グルタミン酸も含まれています。生シイタケの香りやうま味は、それほど強くありませんが、干しシイタケにすると、格段に強くなります。コンニャクや大根などの野菜類と干しシイタケを一緒に煮ると、グアニル酸がしみ込み、仕上がりがいっそう美味に。干しシイタケのうま味をさらに増幅させるためには、昆布とあわせるのが一番。干しシイタケのグアニル酸は、昆布のうま味のグルタミン酸との相性がきわめてよく、うま味が何倍にもなるからです。シイタケは味がよいだけではなく、食物繊維も多く整腸作用を高め、男性ホルモンを増やすといわれているミネラルの亜鉛も豊富に含まれています。健康維持や長寿、免疫力の強化に役立つ成分もたっぷり。そのひとつがエルゴステリンで、日光の紫外線にあたるとビタミンDに変化し、カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にする働きが期待できます。生シイタケでも、料理をする前に、カサの裏側を1時間ほど太陽にあてると、ビタミンDが増えます。ビタミンDは骨を強くするだけではなく、ウイルスなどに対しても免疫力を増強させ、認知症やガンを予防し、不老長寿にも効果が高いといわれる「スーパー栄養素」。このところもっとも脚光を浴びているビタミンといってもよいでしょう。FOOD358日本史にみる長寿食シイタケ食べてウイルス退治
元のページ ../index.html#27