エルダー2023年9月号
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ついて行きます、どこまでも義■昭■が勝てるワケがない。たちま■■■■■■■どんなに気持ちが強がっても、合戦は現実だ。赤ん坊のときから合戦のなかで育ってきた織田信長に、もともと、〝合戦なんて知らないよ〟的生き方をしてきた足■利■ち負けた。「くやしいな」「信長は合戦巧者です。どうします?」「紀■の国へ行こう。味方がいるはずだ」「わかりました。お供します」ここまで供をしてきたのだから、真木嶋昭光には、もう義昭を見捨てる気はない。(死ぬまで供をしよう)と心を決めている。紀の国へ行った。味方はいなかった。みな顔をそむけた。「チッ、みな冷たいな」義昭は舌を鳴らした。「世の中はそういうものです。さてどうしますか?」「鞆■の津■へ行こう。あそこから足利家と縁が深い毛利が味方してくれるだろう」「そうかも知れません。参りましょう」(期待してもムダですよ、われわれは完全に社会から、というより、この世から追い出されたのですよ)、と口まで出かかっていたが、やめた。いってもムダだと思ったからだ。鞆の津は備■後■国■■(広島県福山市)2023.932[第130回]

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