エルダー2023年9月号
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「抱きかかえることがない介助」を目ざして■■■■■■■■■(取材・西村玲)※2 生活介護事業所…… 常時介護を必要とする障害のある人に、通所することによりおもに昼間に入浴や排せつ、食事などの介護、調理、洗濯、掃除などのら、自分の長年の経験を伝えて、みなさんの役に立っていきたいです」と話してくれました。秀島さんから直接指導を受けている保■坂■志■麻■さんは、「秀島さんは利用者の能力を見きわめ、それぞれに合った支援方法を何通りも提案できる方で、みんなから頼りにされています。一日の業務が終了した後、自然と会議のようになって話合いをすることもあります。何を聞いても的確なアドバイスを返してくれるので、本当に頼りになります」と秀島さんへの信頼を語ります。入社2年目の德■廣■光■春■さん(68歳)は、生活介護事業所※2「響■」において、利用者の送迎と生活支援補助を担当。午前と午後の各2時間半の勤務を月22日程度行っているほか、週2〜3日は夕方に1時間〜1時間半、放課後等デイサービス「奏■」の送迎や環境保全業務を行っています。德廣さんはメーカーの営業職として、60歳定年後、66歳まで嘱託社員として勤務。メーカーを退職後、ハローワークで求人を探しているときに、「情熱を持って、相手を感じて、信用される行動をしよう」という同法人の行動指針が心に響き、入職を決めたそうです。「それまでは、競争が激しいメーカーの世界に身を置いていたからか、社会福祉という事業に惹かれ、この行動指針を見て『人間はこうあるべきだ』と共感しました。いまは利用者の方にどれだけ喜んでもらえるかを考えて行動するのが仕事なので、心が温まります」と穏やかな笑顔で話します。入職後、德廣さんは移動サービス認定運転者講習を受講し、車いすを使った移動・移乗の仕方を習得しました。「講習で声かけの大切さを知りました。突然車いすを押されたりすると、驚いてしまうそうです。安心・安全な送迎と移乗介助を心がけています。あまりに周りを見渡すものだから首が凝るようになりました(笑)。迎えに行くと利用者さんが満面の笑みで迎えてくれるのがうれしいですね」(德廣さん)「德廣さんは職場のムードメーカーで、周りを明るくしてくれます。送迎だけではなく、環境保全業務もしていただき本当に助かっています」(宮原理事長)休日はゴルフを楽しみ、その後温泉につかるのが至福の時。「無理のない短時間勤務はちょうどよく、毎日、規則的な生活が送れるので健康的に過ごせています。仕事がよいアクセントになって人生を楽しんでいます。これからも気力と体力を充実させ、できるかぎり長く働きたいです」と抱負を語りました。現在、スプリングひびきでは、高齢職員の負担を軽減する介護ロボットの導入を進めています。宮原理事長は「介護用の浴室用リフトを導入した際、『入浴介助が楽になったので、もう少し仕事を続けられる』と話した職員がいました。これはとても価値のあることだと思います。職員の負荷が少ない『抱きかかえることがない介助』を目ざします」と力強く語りました。副島プランナーは、「今後も職員の高齢化が進展していくと思いますので、宮原理事長が目ざしている障害者支援を続けていくために、職員が高齢期になっても継続して働けるだけではなく、〝働きやすく〟なるよう、お手伝いをしていきたい」と話し、今後のサポートを約束していました。37エルダー利用者と笑顔でコミュニケーションをとりながら車いすを押す德廣光春さん家事、生活などに関する相談、および助言や創作的活動、生産活動の機会の提供などを行う事業所

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