エルダー2023年9月号
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昇給単位の金額は任意に設定できますが、図を用いた例1と、賃金改定幅の拡大をねらって5000円とした例2を示しました。この例では、2年目はXさんの職務レベルをA評価=「1ランクUP」と判定し、例2の5000円×2倍=1万円の昇給を行いました。結果、2年目の金額は29万円・7ランクとなります。「1ランクUP」と判定したにもかかわらず、2年目の賃金も7ランクのままなのは、昇給単位の金額(5000円)が職務レベル変更に見合う賃金改定を1回でカバーできる大きさに設定されていないからです。定年後もある年限まで有期雇用を反復・継続する合意のもとでは、この程度のタイムラグは実務上あり得ると考えられます。この場合、3年目も職務レベルをA評価=「1ランクUP」と判定すれば、再度5000円×2倍=1万円昇給し、3年目で30万円・8ランクとなります。このようなジョブ型賃金の改定基準を用いた契約更改を続けると、段階的に各人の職務レベルに対応する賃金ランクの上限額に接近し、収れんします(段階接近法■)。また、契約更改後の働き方について本人の申し出があったときなどは、相談のうえ、働き方や人材活用の仕方が変わるときは、対応する新たな賃率(85%、80%など)を用いて再雇用賃金を合意※280,000275,400252,900231,300・・・※350,000……00654※Ⅳ等級35万円 (賃率100%)×賃金支給率80% → ※Ⅲ等級28万円(賃率90%)減額理由①職務内容の変化:   これまでの経験・知識・能力を活用できるやや軽易な業務を担当する場合 減額率10%②働き方や人材活用の制約:再雇用という事情以外は基本的に変わらない           賃率90%短期決済型の再雇用賃金の表5では正社員のⅢ等級の昇給単位2800円します。例えば契約更改2年目の基本給が29万円で賃率を90%から85%に変えるときは、29万円÷90%×85%≒27万3890円が見直し後の新たな再雇用賃金となり、2年目以降は図表2のこのように賃率を意識的に適用することで、働き方や人材活用の制約の度合が、ⅰ基本的に変わらない再雇用者は正社員の90%、ⅱ若干限定される場合は85%、ⅲ大きく制約される場合は80%というように、正社員と定年後再雇用者との均衡待遇が常に維持できるようになります。4前の節運で用昇方給法単位の金額は任意に設定できる2023.942図表4 ジョブ型継続雇用賃金表の適用例図表5 ジョブ型継続雇用賃金の改定基準Ⅳ等級正社員↓ゾーン賃率→Sゾーン上限A 〃B 〃C 〃XさんD 〃Dゾーン下限©株式会社プライムコンサルタント 禁無断転載主任・チーフクラス(ジョブ型継続雇用賃金表)306,000281,000257,0005,000円昇給額(例1)昇給額(例2)+8,400+5,600+2,800+15,000+10,000+5,000-2,800-5,000(図表3「職務レベルの判定基準」を参照)。(注)段階接近法■は株式会社プライムコンサルタントの登録商標である。©株式会社プライムコンサルタント 禁無断転載例:定年前賃金350,000円(Ⅳ等級係長・職長クラス)の場合係長・職長クラス7ランク定年再雇用↓賃金ランク賃率→987(役割給)ゾーンの上限額332,000306,000昇給単位:2,800円賃金改定基準2ランクUP1ランクUP同一ランク昇給単位×3倍昇給   〃  2倍昇給上限まで〃1倍昇給昇給なしマイナス〃1倍減給100%451,000419,000389,000360,000(段階接近法■)実績評価職務レベル判定※S評価A評価B評価C評価1ランクDOWND評価2ランクDOWN※職務レベル判定は、改定前の賃金ランクに対する職務レベルの差異を判定するランクの上限額100%389,000360,000332,00090%350,100324,000298,800※290,000+10,000…企画・プロセスを配慮しながら自主的に判断・意思決定する仕事85%の継続雇用賃金表を用いて運用します。

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