エルダー2023年9月号
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部品調達でも発揮された高いアンテナ感度と情報収集力部品の選定や調達にもシニア人材の知見を活かすスタートアップシニア人材奮闘闘記記前回は製品が安定して生産できるまでに役立ったシニア人材ならではの知見として、おもに回路設計に関してご紹介しましたが、部品の選定や調達でも活躍したこともお話ししました。今回はその調達について、もう少し詳しくお話ししましょう。部品を選定する際は、QCD(クォリティ・コスト・デリバリー)のバランスが重要です。一つの要素の条件がよくてもほかに課題があると事業としてうまくいきません。例えば、品質やコストの条件がよくても、納期が長いと量産スケジュールが遅延してしまい、増産の際も制約になってしまいます。あるいは、部品が安くても品質が悪ければ歩留まりの悪化による後工程のコストが発生し、市場トラブルが発生するとお客さまの信頼を損ねてしまいます。これらのバランスを考えながら部品を選定し評価する必要があります。深谷さんに調達に入ってもらったのは、そうしたいくつかの条件に見合った部品を探すためでした。例えば、製品が要求する消費電力を実現するための電源ICを、さまざまな技術的な仕様や設置環境、予算感を理解したうえで複数のメーカーから探す、というような業務になります。憶していますが、こちらの設定した条件の性能や納期を満たす製品を探すために複数の商社にあたってもらいました。に出回っている既存の製品から、より低価格でより安定的に供給可能なメーカーを探す、というパターンですが、まだ世に出ていない新製品のICを「これくらいの性能がある製品が新たに販売されているから採用しては?」といったパターンで提案してもらうこともありました。海外の製品から探すことも多く、その高いアンテナ感度と情報収集力には何度も助けられました。もちろん、深谷さんが提案した部品であってもこちらの要求仕様と購買条件が合わなけれほかの事例では、小型スピーカーだったと記この場合は、スピーカーという世の中にすで2023.948フォトシンスフォトシンス株式会社株式会社PPhotosynthhotosynth取締役取締役 起業したばかりのスタートアップ企業においては、はじめてのことばかりで経営や事業にはうまくいかないことや課題にぶつかることが数多くあります。そこで、「スタートアップ企業にこそ、経験豊富で実務のノウハウを持ったシニア人材が必要」という声もあり、実際に、その経験を活かしてスタートアップ企業で働く高齢者も増加しています。 このコーナーでは、スタートアップ企業に必要なシニア人材をどう見出し、活用し、活躍に結びつけていくかについて、実際にスタートアップ時にシニア人材(深■■谷■弘■■一■■さん)を採用し、現在も活躍中である、株式会社Photosynthの熊谷悠哉取締役に、当時をふり返りながらシニア人材活用のポイントについて語っていただきます。熊熊■■■■谷谷■■■■ 悠悠■■■■哉哉■■44第回

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