エルダー2023年9月号
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サードエイジを生きる思考自己評価による幸福感と年齢の関係は、U字型カーブになることが研究により指摘されているという。幸福感は、20代、30代では高いが、その後低下して40代後半で底をうち、以降は再び上昇する。身体の衰えなどさまざまな喪失を感じる高齢期に、なぜ幸福感が上昇するのか。本書は、この疑問点にシニアが幸福に働く鍵があるとして、多数の研究結果をもとに、シニアの働き方と幸福感の関係をひもとく。そして、シニア個人の違いを尊重した「幸福な働き方」を実現する思考法のあり方を追求していく。たとえば「SOC理論」では、喪失するからこそ新しく何かを獲得することができると考え、シニアは若いときとは違う次元の発達をしていく存在、ととらえる。この発達のためには、自らの加齢の変化に適した「選択」をすること、それに適応する「最適化」、喪失したことを補う術室看護師が、加齢に対応して多数の工夫をしながら仕事を続けている事例を紹介している。そのほかの思考法についてもていねいに説き、中高年者が自らの将来の働き方を考えるヒントを提示。組織のシニアへの対応についても、多くの事例を紹介し、新たな示唆を与えてくれる。石■■山■■恒■■貴■■ 著/赤■■坂■■大■■樹■ 著/「補償」の三つが大事だという。実践として、手「エンゲージメント」は、「婚約、誓約、約束、契約」を意味する英単語で、「深いかかわりあいや関係性」を示す言葉として、ビジネスシーンでも使用され、注目されている。本書によると、「エンゲージメントとは社員の企業に対する帰属意識を表す指標で、これが高い企業は離職率の低下や生産性の向上といった、プラスの作用がもたらされる」ことがわかっているという。しかし、米国のギャラップ社の調査によると、日本企業において「エンゲージメントが高い社員」の割合は、わずか5%とのこと。調査対象129カ国中128位と、極端に低い水準にある。本書は、あそびを通した社員研修プログラムを提供することで、多くの企業の経営課題の解決をサポートしてきた著者が、「あそぶ社員研修」がなぜ社員のエンゲージメント向上につながるのか、そして、企業があそびによってどのように変化したかについて解説。著者が実際の研修で行っている「チャンバラ合戦」や「謎解き脱出ゲーム」などの事例をあげながら、それらが効果的な理由をひもといている。エンゲージメントの改善は、人材難に苦しむ企業の解決策として注目されている。経営者や人事担当者に手にとってほしい一冊である。定年前と定年後の働き方エンゲージメントを高めるあそぶ社員研修のススメ57エルダー光文社/946円幻冬舎/990円※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します離職率低下や生産性向上に「チャンバラ」など「あそぶ社員研修」が効果的!幸せに働くヒントが満載!シニアの「幸福な働き方」とは?

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