エルダー2023年9月号
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ワンズオフィス社労士事務所代表特定社会保険労務士大■関■ひろ美■7■■ルールを明確に記載することで、規則の対象者間に不合理な差が生じることを防ぎ、労働者の権利や福利厚生を守ることに役立ちます。例えば、社員があらかじめ決められている始業時間から16分遅れて出勤したとき、月給制の正社員の遅刻控除をどのように計算するのでしょうか。制裁の対象になる場合を除いては、遅刻した時間よりも長い時間を賃金控除してはなりませんが、実際の計算はその会社の就業規則に定めた方法で行うことになります。ある会社では、30分未満の遅刻は遅刻控除の対象にしないと定めているかもしれませんし、ほかの会社では1分単位で遅刻控除をすると記載している場合もあります。また控除は基本給なのか、ほかの手当も含めるのかも各社の計算方法が違いますし、時間単価の算出式をどのようにするのかについても異なります。よって、このような取扱いは、就業規則でしっかり定めて労働者と事業主の共通認識にしておく必要があります。一方で、安全衛生に関することを就業規則に定めることによって、良好な職場の安全衛生を維持する役割もあります。また、勤務をする際に守るべき約束事をあらかじめ決めて労使で共有をしておくことで、無用なトラブルを防ぐことができます。これらの目的を達成するために就業規則を作成しますが、作成に関連することが決められている法令や労働協約に反してはいけないことになっています(労働基準法第92条)。は、事業主と労働者間のトラブルを防いで、働きやすい労働環境の整備と、企業などの組織の継続と発展に役立つものになります。届出の義務や、変更の手続き、労働者へ周知させることについて法律で定められています。決められた事項について就業規則を作成して行政官庁に届け出なければなりません。そして、その内容を変更したときも同じように届け出なければなりません(労働基準法第89条)。適正な手順で合理的な内容を定めた就業規則常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則に定めておく事項には、必ず記載す特集高齢者雇用と就業規則入門エルダー11就業規就則業は規、則労を働つ時く間るや目賃的金はなどに関する22組織の就運業営規に則必と要労な働就基業準規法則ですが、作成と総 論総 論就業規則の基礎知識

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