エルダー2023年10月号
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き9も着手し、貸しビルやマンション経営、2004年からは飲食事業もスタートさせた。事業の多角化により、すべての社員がやりたいことを実現でき、個々の能力を発揮できる場を提供するとともに、地域のインフラを支えるサービスの提供を通じて、お客さま・社員・会社・地域の4者の満足を追求し続けている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方地域の人口減少、過疎化と並行して同社でも社員の高齢化が進んでおり、10年ほど前から、特に事業の中核である運送部門において高齢化が顕著に進んでいた。現在、60歳以上の社員は全社員の36・1%に達しており、そのほとんどが運送部門に所属している。70歳以上の社員は5人で、最高年齢者は76歳。社員の高齢化と並行して、地域のスクールバスの運行やゴミ収集事業を同社が承継するという経営上の課題も浮上し、地域で役に立ち続ける会社であるために、高齢社員が長く働き続けることのできる環境整備が必要な状況となっていた。改善内容(1)制度に関する改善▼定年年齢の見直し2015年にJEEDの「企画立案サービス」を活用し、再雇用後の賃金制度を含めた高齢者雇用制度の見直しに着手。2017年に定年を(令和3)年には、それまで就業規則に明文化していなかった再雇用制度を整備し、70歳までの継続雇用についてその基準を定めた。今後は、に入れている。022年まで勤務していた75歳のクレーンオペレーターは、現在も、特定の取引先からその技術を請われて仕事の依頼があり、スポット的な業務委託で行っている。▼賃金制度の改定と評価制度の導入に再雇用後の賃金制度を見直した。年齢給と職務給を導入し、職務給は従事する業務内容によって賃金を決定している。これにより社員の納得性が高まるとともに、会社が求める人材像と期待する成果が明確になったことで、社員のモチベーションが向上した。あわせて評価シートによる評価制度も導入しており、年に1回、本人と部門長で人事評価を行っている。ただし、同社は運搬作業など「仕事がシンプルである」ために、人事評価によって給与や賞与の査定を行うというよりも、自発性をうながし、現在の心身の状態に適した職務を判断する際の指標となっている。現在の最高年齢社員は76歳である。また、2定年年齢の引上げにともない、2018年ゅうわらょう安全ミーティングや朝礼などを通じて、安全運転や安全作業、法令遵守の徹底、運送部門や石油部門のドライバーに対する安全教育の徹底に努めている。企業の沿革・事業内容同社は1688年に、温泉津町にて創業。当時の屋号は「たばこや」で、廻船問屋、宿場、木材問屋、底引き船団などに従事していた記録が残っている。1965(昭和40)年2月に、有限会社小川商店を設立すると、小売・雑貨店から始まり、砂利、砕石、石せ州し瓦が業ぎ用粘土などの運搬、石油製品の販売へと業容を拡大。さらに、1990(平成2)年からは不動産事業に70歳定年制の導入、または定年制の廃止を視野60歳から66歳に引き上げた。さらに、2021有限会社小川商店がY-LABと共同運営管理する温泉津ふれあい館ⅣⅣⅡⅡⅢⅢ

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