エルダー2023年10月号
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ではなく、社長に直接、業務改善の提案をメールで届けることもできる。▼高齢社員に働きがいを提供事業の多角化が、高齢者を含む多様な労働者の就労機会の創出につながっている。同社ではスクールバスの運行業務や不燃ゴミ・リサイクルゴミの収集運搬業務など、地域の日常生活を維持するサポート業務を受託しており、地域のインフラを支えるうえで不可欠な存在となっている。運送部門の社員が、加齢により大型車両の運転が困難になった際には、スクールバスの運転へと職務を転換することで、高齢社員の活躍の場を創出している。また、高齢社員が地域児童との触合いや、ペア就労による若手への指導役もになうなど、高齢社員の意欲の向上や働きがいの提供につなげている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み▼安全管理と健康管理全社的な取組みとして安全衛生委員会を定期開催していることに加え、運輸部門では月1回の安全ミーティングや、毎日の部署ごとの朝礼を行うなかで、各ドライバーに安全意識の啓蒙を図っている。朝礼では、ヒヤリハットの事例を共有し、特にタイヤ交換に関する安全対策を徹底しており、脱輪などの事故事例などを詳しく紹介し、安全意識を浸透させるよう心がけている。石油部門では、朝礼のほか配達ドライバーによるミーティングを通して、安全運転や安全作業の徹底に努めている。行い、自動車の運転に関する長所や短所といった「運転のクセ」を測定し、それぞれのクセに応じたアドバイスを行うことで、交通事故防止に活用しているほか、バイオリズムテストを行って体調の変化があった際などには注意をうながしている。態に不安のある者に対する部門責任者からのフォローを徹底しているほか、インフルエンザワクチン接種費用の全額会社負担や、改善提案制度で要望があった、通院や家族の送り迎えのための時間休・半日休暇制度を実現している。さらに、運輸部門ではドライバー適性診断をまた、法定健康診断の受診とともに、健康状▼業務のスピード感を重視し、自発的な人材づ(2)意欲・能力の維持・向上のための取組みくりの方針が生む好循環トラックによる運搬作業は、前日に仕事内容が決まることがほとんどであることなどを背景として、社員の年齢にかかわらず、同社では「業務のスピード感」を非常に重視している。意思決定のスピードアップのため、現場のマネージャーへの権限移譲を進めており、改善に経費が発生するものについては、30万円まで現場決裁が可能。スピーディーな改善とともに、社員のモチベーション向上にもつながっており、次の積極的な改善提案を生み出す好循環が生まれている。部門長には社員との積極的なコミュニケーションの推進を徹底するとともに、部門長だけ10簡易宿泊施設を併設する「ライダーズハウス」は、社員からの提案とスピーディーな意思決定により生まれた同社が運営するガソリンスタンド。地域にとって欠かせないインフラの一つ有限会社‌小川商店

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