エルダー2023年10月号
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の製品が使用されており、日常生活において、同社の製品に触れる機会は多いと思われる。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方現在、同社の60歳以上の社員比率は34%で、製造部門を中心に67人の高齢社員が各職場で活躍している。希望者全員65歳までの再雇用、その後基準を設けて70歳まで継続雇用することを就業規則に明記。以降も運用により一定条件のもと、年齢の上限なく継続雇用しているため、生涯現役で働くことも可能となっている。弱を占める。これは、若年者の採用および定着率が低かったことから、いち早く高齢者の活用に着目し、2013(平成25)年以降、他社の定年退職者や早期退職者を中途採用者として多く受け入れたためであり、前職の経験やスキルを発揮している。最高年齢の83歳の社員はパイプの手曲げ加工に従事し、経験を要する重要な役割をになっている。改善内容(1)制度に関する改善▼定年、継続雇用制度定年60歳、希望者全員65歳まで再雇用し、65歳以降は基準を設け有期フルタイマー、あるいは有期パートタイマーとして再雇用する。65歳以降は能力、担当する仕事の比重、生活スタイルおよび健康診断の状況に応じ、希望をふまえたうえで雇用形態を個々に設定し、会社貢献度、スキルに応じて処遇が決定される。さらに70歳以降も、業務に差支えがないかぎり、年齢上限なく働くことが可能となっており、他社を定年退職した中途採用者の受入れも多い。現在、多くの高齢社員が働き活躍していることから、定年延長を検討している。▼賃金制度時給制があり、再雇用時の面談にて、働く側の希望に応じて業務内容や役割も含め勤務形態を決定し、各人の貢献度、スキル保有状況に応じて、給与形態を決定する。以前、有期雇用者はすべて同じ時給額であったが、現在は評価により金額が決定されることで、モチベーションの維持・向上を図り、自己研鑽をうながしている。入れているが、入社前に職場見学をしてもらうことが定着率の高さにつながっている。実際に仕事内容を見ることで、本人からそれまでの経験や保有資格に応じ、できることを提案されることも多く、適性に応じた配置が可能になっている。て、「年齢にかかわりなく自分らしく働ける職再雇用者の賃金制度には月給制、日給月給制、同社は高齢者を含め中途採用者を数多く受けまた、高齢社員が活き活き働いている姿を見▼中途採用者者の資格保持者のなかには70歳のベテラン社員もおり、衛生管理者としての経験やノウハウが若手に伝承されている。企業の沿革・事業内容1966年創業の同社は、熱交換器用パイプ加工事業からスタートし、1974年に有限会社井上機工を設立。1979年に株式会社に組織変更を行い、近年は省エネ技術の研究開発にも取り組むなど、着々と業容を拡大し、現在は空調機配管部品、給湯器配管部品、列車用熱交換器配管部品を製造している。特にエアコンや鉄道車両向け熱交換器(ヒートパイプ)に使用される銅パイプ加工を得意とし、家庭用・業務用エアコンをはじめとする空調機器などに同社1770歳以上の高齢社員は38人で、全社員の20%井上機工株式会社本社後送ⅣⅣⅡⅡⅢⅢ

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