(1)制度に関する改善▼定年制の改定定年後は、健康状態などに問題がなければ70歳まで再雇用し、さらにその後も本人の希望や適性、心身の健康、評価などをみて、年齢の上限なく継続雇用を行っている。再雇用する際は全員に認知生活機能チェックを実施(その後は契約更新ごとに実施)し産業医に判断を仰ぐ。また、65歳以上は1年ごとに、70歳以上は半年ごとに、75歳以上は3カ月ごとに健康状態や、交通事故発生状況なども加味した面談を行いながら更新を確認している。定年年齢の引上げにより、60歳以上の未経験者を採用する窓口が広がった。▼賃金制度の改定士などと相談を重ねるとともに、社内で賃金委員会を立ち上げた。委員会には正社員や有期雇用契約社員、短時間労働契約社員(定時制)、若手から中高齢社員まで、雇用形態や年齢を問わず幅広く人選し、全社員に委員会を発足した旨を報告、同意を得て数回の検討会議を実施した。改定にあたっては同一労働同一賃金に配慮し、より分かりやすくすることで、社員にとってより納得性のある賃金制度とした。活躍できる仕組みづくりを進めている。感染症対策や健康管理、メンタルヘルス対策、事故防止教育の実施、認知・生活機能対策など、徹底した労務管理と事故防止対策を実施している。企業の沿革・事業内容同社は、1961年10月30日に、一般乗用旅客自動車運送事業としてタクシー15台、ハイヤー5台で創業した。以来、「お客様の足として社会に貢献すること」を企業理念に掲げ事業を展開してきた。1989年7月1日に、業界大手である国際自動車株式会社の業務提携会社(現在はパートナー会社)としてkmグループ※に加入した。労務管理と事故防止を徹底し、弥生交通のモットーである「安全安心な運行」に沿って、現在は51台のタクシーでサービスを提供。公共交通機関としての役割を果たすことで社会貢献を目ざしている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方2023(令和5)年4月1日現在、全社員(92人)に占める60歳以上の社員の割合は44人で全体の約48%を占めている。うち70歳以上の社員は21人で約23%と、高い割合となっている。最高年齢者は82歳で、運行管理補助者として勤務している。平均年齢は59歳と高く、職種の内訳は乗務員80人、運行管理者(補助者含む)7人、整備士4人、事務職1人となっている。少子高齢化という時代の波を受け、同社でも社員の高齢化が進み、2019年3月には社員の平均年齢が60歳を超えようとしていた。それまでも心身に問題がなければ実質的に年齢の上限なく再雇用を行っていたが、定年が60歳であったため、実情と合わない状況であった。同社は事業を継続するうえで、高齢社員の経験や知識が必要不可欠であることや、さらなる高齢化が進むことを考え、2019年4月に定年制を改定し、65歳定年制を導入した。また、コロナ禍で仕事が減少した時期に、社員の意見を反映させた賃金制度に改定した。勤務形態についても、各社員が自分のライフスタイルに合わせて勤務形態、始業・終業時刻を選択できるよう改定するなど、働きやすい職場環境づくりの取組みは高齢社員のモチベーションアップにつながっている。改善内容2019年4月に定年を60歳から65歳に変更、賃金制度については、弁護士や社会保険労務21※ km(ケイエム)グループ……国際自動車グループ(タクシー、ハイヤー、バス、整備)を中心にタクシー30社・4,800台を有するグループ弥生交通株式会社5ⅡⅡⅢⅢⅣⅣ
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