忠臣は二君に仕えず足■利■義■昭■が亡くなった。死につ■■■■■■■■■■■■■■■■■■いては諸説ある。京都に戻って閑居し病死したという説、鞆■の津(備■後■福山)から薩摩に逃れて謀殺されたという説など。いずれにしてもその死を葬ったのは、サムライ真木嶋昭光である。が、このときの義昭はどういう位置づけになるのだろうか。事実としては織■田■信■長■から現職のまま京都から追ん出されたのだ。したがって現将軍、前将軍、元将軍、どれでもあてはまる。しかし、昭光にとってはそんなことはどうでもいい。〝主人〟の〝上■様■〟なのである。京都で貴人の葬儀は関白の所管のようだ。そこで昭光は関白の豊■臣■秀■吉■の所に行った。さすがに秀吉は細かいことまで知っていた。「ごくろうだった」昭光のいままでの努力をねぎらった。苦労人らしい温かさがあった。「おそれいります、殿下」昭光は素直に礼をいった。「寺は?」秀吉は単刀直入に訊■いた。昭光は「京都の等■持■院■が菩提寺でございますので」「下■野■(栃木県)の方とはあまり縁がなかったな」「はい」「もう話は通したのか?」「はい、殿下からもお口添えいただいたそうで、ありがとうございます」「礼をいうほどのことはしておらぬ。それで?」(これからは関白の仕事だ)秀吉2023.1030[第131回]
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