を徹底し、成果責任を明確にした実力主義の人事処遇を行います。責任役職を離脱させるにあたっては、新たな役割を付与するリスキリングと再配置を進め、それまでの経験・専門知識や熟練技能、人的ネットワークを会社が必要とする専門分野やフロントラインで発揮させます。後継者の業務支援やOJTなどの後方支援にとどまらず、顧客リレーションや外部ネットワークを活かした商品開発や外部調達、技術導入、新業態開発、業務の内製化など、できるだけ具体的な成果の上がるテーマに貢献させることが肝要です。事業戦略に連動して、具体的な成果を上げる組織運営と人事が徹底できるようになれば、現実に高齢社員の役割給がオーバー・コストにならないレベルに事業の収益力を向上させることも不可能ではありません。そうなれば、シニア社員制度に頼らなくとも、一律の役割給に基づく65歳定年制に移行することも可能になります。4以上の定よ年う制にの、廃役止割給をや視再野雇に用のジョブ型賃金が徐々に定着すれば、メンバーシップ型の雇用・人事のもとでも役割・職務内容や働き方の見直し、弾力的な賃金待遇がいわばあたり前のものに近づき、日本でもジョブ型に近い開放的な組織風土が浸透する可能性があります。そうなれば正社員と定年後再雇用の境目も意味が薄れ、定年制を廃止し役割給を全面導入する段階に移れるかもしれません。ご承知のように、アメリカやイギリスでは年齢による雇用差別が禁止され、日本のような定年制はありません。ただし定年がないといっても、いつまでも働きたいだけ働けるというニュアンスではなく、明確な成果責任と実績評価に基づく雇用・賃金管理が行われ、企業も外部から新たな人材を積極的に採用するので、つねに人材が入れ替わります。外部基準による雇用人事管理を通して役割・職務内容や業績に応じた市場価値による賃金待遇が浸透し、結果として職種・地域の世間相場に準拠したフラットな賃金カーブになるのです。一般の日本企業が、アメリカやイギリスのような職務給に基づく完全なジョブ型雇用になることは将来もないと思いますが、今後は人手不足がますます進行するなかで、メンバーシップ型とジョブ型が混在した多様な雇用・人事管理へと諸制度が変化していくでしょう。特に専門人材を外部から採用する動きは活発化し、少なくとも年功賃金を基軸とするメンバーシップ型の雇用・人事を唯一あるいは最優先とする考え方は徐々に解体されていきます。これからは、世代やいまだ一部にみられる男女の性別役割分担を超えて、社会が必要とする仕事の機会が、広くオープンに提供され、働く人たちがいっそう活躍しやすい、開放的な雇用と賃金処遇の仕組みを探求していかねばならないと思います。41図表4 定年後再雇用と65歳定年延長の賃金待遇の取扱い60歳定年・定年後再雇用定年後も同一の職務内容または新たな職務内容に変更⑴定年後も配置異動の範囲は同一または勤務地・職種などを限定⑵定年後再雇用賃金(本連載はジョブ型)…上記⑴⑵および「定年後再雇用」などそのほかの事情に応じて賃金を減額60歳定年前正社員と定年後再雇用との賃金の不合理な待遇差を禁止©株式会社プライムコンサルタント 禁無断転載65歳定年延長シニア社員制度(図表3)60歳以降シニア社員は原則として責任役職を離脱し新たな職務内容に変更⑸60歳以降シニア社員は勤務地・職種等を限定⑹シニア社員賃金…正社員の賃金制度に準じ、上記⑸⑹の事情に応じて減額・ シニア社員を含め正社員同士の賃金の待遇差は均衡待遇の対象外⑺・ 65歳定年前正社員(シニア社員含む)と定年後再雇用との賃金の不合理な待遇差を禁止65歳までの取扱い職務内容、役職配置・異動賃金制度均衡待遇の規定(パートタイム・有期雇用労働法第8条 不合理な待遇の禁止)エルダー全員同一基準(図表2)原則として定年まで職務内容は無限定一部専門職は職務限定正社員制度あり⑶原則として無限定一部勤務地限定社員制度あり⑷定年まで正社員の賃金制度をフル適用⑶⑷の事情に応じ例外措置あり65歳定年前正社員と定年後再雇用との賃金の不合理な待遇差を禁止シニア社員のためのシニア社員のための「「ジョブ型ジョブ型」」賃金制度賃金制度ののつくり方つくり方
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