労働条件通知書の記載事項変更更新に関して上限の記載を行うか否かという点や無期転換権が生じないのであれば、その旨を記載することを検討しておくことが望ましいと考えられます。また、給与体系の変更がある場合には、その期待される役割や業務内容についても記載しておくことが適切でしょう。Q22024(令和6)年4月1日から施行される、労働条件通知書記載事項の変更とは何ですか労働条件通知書の記載事項が変更になるにあたって、定年後再雇用時の記載について、留意すべき事項はあるでしょうか。並びに使用者の規模、業種、業態、代替要員の確保可能性、使用者における時季変更権行使の実情およびその要否といった事情を総合的に考慮して判断するとしています。当該事案において、裁判所は、JRによる新幹線の運行について社会経済上の要請があることなどをふまえつつも、時季変更権の行使は、判断するのに必要な合理的期間を超えていたものとして、使用者の過失による義務違反(債務不履行)であると判断しました。そのほか、労働者からは、恒常的な人員不足を理由とする時季変更権の行使は許されないとの主張もなされており、裁判所は、「使用者が恒常的な要員不足状態に陥っており、常時、代替要員の確保が困難な状況にある場合には、たとえ労働者が年休を取得することにより事業の運営に支障が生じるとしても、それは労基法39条5項ただし書にいう『事業の正常な運営を妨げる場合』に当たらず、そのような使用者による時季変更権の行使は許されないものと解するのが相当である」と判断され、被告が恒常的な要員不足の状態のまま時季変更権を行使したことも債務不履行に該当するものとされました。恒常的な要員不足に陥っている場合は、使用者による有給休暇に関する時季変更権を行使できなくなるおそれもあることを示しているため、有給休暇の取得が可能となる人数を確保しておくよう注意が必要です。12024年4月1日以降、労働基準法において求められている労働条件通知書の記載事項が変更されます。おもな項目としては、無期転換ルールに関する事項を含めた労働条件明示事項の追加、裁量労働制に関する改正などが予定されていますが、高年齢者雇用との関係において留意すべきポイントを整理しておきたいと思います。追加が必要となる記載事項は、①通算契約期間または有期労働契約の更新回数の上限、②就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲のほか、③無期転換申込機会の明示や無期転換後の労働条件の明示となっています。期労働契約を締結することになるため、①の通算契約期間または有期労働契約の更新回数の上限を記載する必要があります。例えば、の有期労働契約を予定している場合には、通算契約期間として5年間と記載するか、更新回数上限として4回と記載しておくことが適切でしょう。明示については、使用者において第二種計画認定※の手続きを終えているのであれば、無期転換申込権自体が発生しないため、その機会の明示自体も必要はないと考えられますが、労働者の立場をふまえると無期転換申込定年後再雇用を行う場合は、基本的には有また、③に関連して、無期転換申込機会の2023.1044※ 適切な雇用管理に関する計画書を作成し、都道府県労働局長の認定(第二種計画認定)を受けた事業主の下で、定年に達した後、引き続いて雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)については、無期転換ルールの特例として、その事業主に定年後引き続いて雇用される期間は、無期転換申込権が発生しない65歳定年後、70歳までを上限として1年ごとA
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