きたので、採用当時からシニア人材として活躍している方もいれば、当社で働きながら50代になった方など、深谷さん以外のシニア人材も多く在籍されるようになってきました。なかにはいわゆる大手メーカーで長年ものづくりにたずさわってきた方や、ハードウェア設計をずっとやってきた方などもいます。そうした方々も当社のものづくりの基盤をより強固にするために、よい影響を与えてくださいました。また、当社はものづくりにかかわっていた方にかぎらず人材を採用しています。出身業界の多様性が高く、メーカーとは異なる業界を経験してきたメンバーの比率がとても高くなっていて、法人向けのWebサービスを提供しているという特性もあることから、IT企業出身の営業やカスタマーサクセス部門もありますし、法務や財務も必要です。さまざまなスペシャリストが集まることで醸成された、企業文化があります。メンバーのバックグラウンドが多様だからこそ、幅広い年齢層を受け入れることができるという側面もあると思います。スタートアップ時からそういう方向で進んできたので、どんなに経験豊富な方でもすんなり受け入れて、違和感を感じずに仲間として一緒に歩んでいくことで、その方の持っている知見や人脈などを十分に引き出し、当社の成長に貢献していただくことができたのだと思います。当社が幸運だったのは、創業1カ月目の20代のメンバーしかいないようなタイミングで、当時70代の深谷さんと出会えたことだと思います。立ち上げ当初は同じ年代で同じ価値観を持つメンバーと、貪欲に学びながら何でもやってみるというスタイルで活動していました。に驚く一方で、ものづくりへの情熱や新しい技術を学び続ける姿勢に深く共感しました。また、MVNO※1が提供する格安SIMを契約し、ブロックチェーン※2を使った新しいサービスを楽しみながら使いこなしている様子には共感を超えて衝撃すら覚えました。このような価値観の共通点があるからこそ、プロダクトビジョンの共感が生まれ、サービス開発中の活発な議論につながったのだと思います。い多様な組織体制ができ上がり、創業10年目を迎えることができました。が、象徴的なエピソードを話してくれました。彼が初めて出社した日に、社員しか入れない執務室に深谷さんが若い社員に混じって業務を行っていて「このおじいちゃんは何なんだ?」と驚いたそうです。しかも周りの社員も何の違和感もなく、深谷さんは20代のエンジニアや40代の社員たちと仕事をしていました。それを見た彼は「スタートアップと聞いていたが、思っていたのと違って年齢層が幅広い」と感じたそうです。クトへの価値観や仕事に取り組む姿勢といったカルチャーフィットなのだと思います。そこにいきなり深谷さんが仲間となり、年齢この経験から、出身業界や年齢にとらわれな数年前に中途採用で入社した40代のメンバー同僚として重要なのは、年齢よりも、プロダつづく採用はカルチャーフィットが重要47深谷さんによるものづくりセミナーの様子(写真提供:株式会社Photosynth)エルダー※1 MVNO……仮想移動体通信事業者。移動体通信事業者(NTTドコモなど)からネットワークを借りて通信・通話を提供する事業者のこと※2 ブロックチェーン……情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種スタートアップシニア人材奮闘闘記
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