エルダー2023年10月号
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企業の施策両立支援の今後の課題3段階で、より高い要件を満たしている場合は、プラチナえるぼし認定を受けることができる。・くるみん認定…「子育てサポート企業」として認定する制度。くるみん・プラチナくるみん・トライくるみんの三つの認定がある。助成金については、2023年度時点で両立支援等助成金として次のものが設けられています。・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)…男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境や業務体制整備を行い、産後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得させた中小企業事業主に支給。・介護離職防止支援コース…「介護支援プラン」を策定し、円滑な介護休業の取得・復帰に取り組んだ中小企業事業主などに支給。・育児休業等支援コース…育児休業の円滑な取得・職場復帰のための取組みを行った事業主に支給。企業の取組みとしては、義務化されているものとして次のものがあります。・一般事業主行動計画の策定・届出※3…事業主が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むにあたって、①計画期間、②目標、③目標を達成するための対策の内容と実施時期を具体的に盛り込み策定するもの。・ハラスメント防止措置の実施…育児・介護休業法が対象とする制度の利用を理由とした解雇や不利益取扱いなどのいやがらせの言動や、制度利用を阻害する言動などに対して防止措置を講ずること。義務化されていない取組みとして代表的なものとしては、先述の認定制度の取得(企業のイメージの向上メリットあり)のほか、テレワークやフレックスタイム制度の導入、法で定める期間を超えた休暇制度・短時間勤務制度の充実、1時間単位の有給休暇の取得など、育児や介護の事情に対応しやすい就業制度の導入があげられます。具体的な内容については、東京都産業労働局の「家庭と仕事の両立支援ポータルサイト」※4の取組事例・両立体験談が参考になると思いますので、ご参照ください。両立支援ですが、まだまだ課題はあります。一つは制度が十分に使われていない点です。例えば、「令和3年度雇用均等基本調査」結果※5によると、2021年度の育児休業取得率は女性しかも取得期間は女性は12カ月〜18カ月未満が最も多いのですが、男性は5日〜2週間未満が最も多い状況です。介護についても、「令和元年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業報告書」※6によると、直近1年間における家族の介護をおもな理由として退職した従業員の割合8・4%のうち、退職前の介護休業制度の利用者は22・8%、介護休業以外の両立支援制度の利用者は10・9%にすぎません。これらの理由としては、職場(特に上司)の理解不足、会社の周知不足、休業中の収入への不安などがあげられます。支援がまだまだ十分でない点があげられます。育児・介護休業法の近年の改正のメインは育児関連であり、また先述の厚生労働省委託調査でも、介護のために勤務先の制度を利用しなかった理由として、そもそも「介護休業制度等の両立支援制度が整備されていなかったため」がす。今後、仕事と介護の両立が必要となる従業員は増加していくことが想定されるため、仕事と介護の両立支援の充実が望まれます。もう一つの課題としては、介護に関する両立次回は、「HRDX」について解説します。35・5%(現在正社員回答)と最も多い状況で85・1%に対して、男性は14・0%の状況です。※3 「次世代育成支援対策推進法」により従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務化※4 https://www.katei-ryouritsu.metro.tokyo.lg.jp/※5 厚生労働省『令和3年度雇用均等基本調査』(2022年7月)※6 厚生労働省委託事業『令和元年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業報告書』(2022年3月)■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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