本人の意欲やいままでの経験・技能を高く評価し、60歳以上の採用を積極的に行っている。送迎業務では特に高齢社員の比率が高く、各事業所でルートの確認と安全に関する情報を共有する「ドライバーミーティング」を毎月全員参加で実施。また、同乗して運転指導を行う「ドライバーチェック」も定期的に行っている。業務の効率化と事務負担の軽減を図るため、全社的にICT化を推進している。なかでも、これまで紙に記入し保管していたさまざまな記録を、タブレットに入力するだけで管理・保管できる「介護記録システム」は着実に現場に浸透し、生産性の向上に寄与している。企業の沿革・事業内容2002年3月に理学療法士であった代表取締役社長の前川有一朗氏が、鍼灸マッサージを主体とした「治療院は「リハビリデイセンター悠」を開設し、短時間制によるリハビリ専門の高齢者通所介護施設であるデイサービスを展開。その後も認知症対応や口腔リハビリに特化した通所施設、訪問介護事業所などを開設し、現在は神奈川県南部を中心に介護保険事業17事業所と栄養管理、訪問リハビリ、保育施設の3部門を運営するなど事業を確実に拡大してきた。全社員数に対する60歳以上の社員の割合が8月時点)など、高齢者や障害者の雇用に積極的に取り組んだ結果、「令和4年度障害者雇用優良事業所表彰(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞」を受賞するなど、高い評価を得ている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方社員数202人のうち60歳以上は82人(40・6%)、70歳以上は42人(20・8%)と、高齢社員の割合が高く、最高年齢者は80歳である。定年は60歳で、定年後は希望者全員を70歳まで再雇用する制度としている。その後は運用により一定条件のもと、年齢の上限なく継続雇用している。同社には、「私たちの仕事は利用者様の生活に希望、喜び、勇気を与えること」と悠ゆ」を創業。その翌年にいう理念と「高齢者や障がい者の方たちの生活を支える」という会社の存在意義があり、採用の際は、これに共鳴して働いてくれるかどうかを大きな判断基準としている。そのため、理念に共鳴してともに働いてきたスタッフが高齢化し定年を迎えても、「まだ働けるならば、継続して雇用できる制度にしていきたい」という思いで工夫を積み重ね、職場改善につなげてきた。らは年齢に対する引け目からか「こんな年齢ですけど大丈夫でしょうか」といった反応があるというが、実際に面接してみると人柄がよく、いままでの経験や技能が魅力となっている人が多く、積極的な採用につながっている。60歳以上の新規採用は、2019(令和元)年12人、2020年6人、2021年14人、2022年創出にも貢献している。(1)制度に関する改善▼定年制と継続雇用制度の改正度」を改定し、60歳の定年後も希望者全員を70歳まで嘱託社員として再雇用し、70歳以降も本人の希望や体調に留意しながら年齢の上限なく勤務できるようにした。新規採用に関しても、60歳を過ぎた応募者か改善内容2009年3月に「定年制」と「継続雇用制株式会社マエカワケアサービス事業所外観(写真提供:株式会社マエカワケアサービス)54 う940・6%、障害者雇用率は16・2%(令和5年11人と毎年安定しており、地元の高齢者の雇用ⅢⅢⅣⅣⅡⅡ
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