エルダー2023年11月号
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これにより、「元気とやる気があるうちは働き続けられる」という安心感をもたらし、仕事へのさらなる意欲につながっている。評価に関しても、仕事内容に大きな変化がない場合は定年後も正社員時と変わらず給与と賞与を支給することで、モチベーションの維持につなげている。▼多様な勤務形態社員を大切にし、長く一緒に働けることを第一に考え、高齢社員だけでなく、子育てや介護などさまざまな事情のある社員に対しても多様な勤務形態を用意している。フルタイム勤務がむずかしくなった場合でもパート社員や短時間正社員、短時間嘱託社員といった多彩な勤務形態への転換制度を設け、柔軟に働き続けていけるよう対応している。(2)高齢社員を戦力化するための工夫送迎業務を安心して行うため、利用者の体調変化や送迎時の注意点、ヒヤリハットなどの共有を行い事故撲滅につなげるための「ドライバーミーティング」を月2回開催し、全ドライバーが必ず参加できるよう日程を調整している。若手社員が高齢社員に、業務で使用するICT機器の操作説明などを行う一方、土地勘のある高齢社員からは送迎コースの見直しの提案のほか、車の整備や運転の指導など、それぞれの知見を活かした活発な意見交換を行っている。また、安全に運転が行えているかを確認するために管理者などが同乗する「ドライバーチェック」も定期的に実施している。▼「サンキューカード」社員同士が高め合える環境づくりのために、感謝の気持ちを「サンキューカード」に書いて贈り合うようにしている。単に相手に贈るだけではなく、自分の手元にもだれにどんな内容のカードを贈ったのかを残すようにすることで、より心をこめたやり取りができるようになった。高齢社員からは「言葉だけでもうれしいが、形として残るものだからさらにうれしい」という声が寄せられるなど、良好な人間関係をつくり高齢社員のやる気を引き出すきっかけとなっている。この取組みは社員だけでなく利用者を含め同社にかかわるすべての人を対象としており、全社的な職場環境の充実につながっている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み▼IT活用の取組み現場の業務効率化を図ることと、事務作業の負担軽減を目的として、2015年から全社でICT化を積極的に推進している。なかでも「介護記録システム」は、これまで紙に記入して保管していた介護に関するさまざまな記録を、タブレットに入力するだけで管理・保管できる重要なシステムとなっている。2022年からは、全社員が安全に送迎業務を行えるようにドライブレコーダーを全車に導入し、その映像を使ったドライバーミーティングや運転の評価などを各事業所で実施している。を試験的に導入し、住所を入力すると自動的にマップ上でルートを組んだり、利用者へボタン一つで到着したことを自動音声案内できる機能を利用するなどし、送迎業務の負担軽減にも取り組んでいる。よりも、こう行ったほうが効率がよい」といった提案を取り入れてルートの見直しを行うなど、ベテランならではのノウハウも活かしている。(4)その他の取組み▼経営方針の周知毎年全社員に配付される「経営指針書」がある。パート社員も含めた全社員に配られるもので、毎年度のはじめに経営指針書を説明するための「指針会」において内容を説明している。この経また、一部事業所では「送迎支援システム」一方で、経験の長い高齢社員からの「この道同社の理念を浸透させる重要なツールとして▼ドライバーミーティングの実施サンキューカード。2019年には「年間5,000枚贈り合う」ことを全社の目標としたが、大幅に上回る年間1万7,531枚を達成している(写真提供:株式会社マエカワケアサービス)株式会社‌マエカワケアサービス10

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