エルダー2023年11月号
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企業の沿革・事業内容長野県東御市に位置する同法人は、日本船舶振興会(現・公益財団法人日本財団)の地域福祉総合プロジェクトのケアポート事業モデル第3号として、1993年2月に設立された。特別養護老人ホーム「ケアポートみまき」を中核として、デイサービス、訪問介護、訪問看護などの介護事業と障害者就労支援事業を展開してきた。同法人の敷地内には「保健・医療・福祉」の総合施設として温泉アクティブセンターやトレーニングセンター、市の温泉診療所を併設しており、福祉サービスの提供を通じて地域貢献に努めている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方を占めており、最高年齢者は81歳の女性職員である。介護業界における人材の確保は近年むずかしくなる一方で、職員の高齢化が進んでいたことから、70歳までの就業確保はもちろん、70歳を超えても働きたいという職員の希望に応えるべく、70歳超の雇用を実現。職員からも歓迎されており、70歳を超えても働きたいと希望する人は増え続けている。同法人には、介護業務を担当する介護職、給食を担当する栄養職、事務員、看護職など多くの職種があるが、高齢職員の多くは介護職に従事している。本人の事情や希望に応じた勤務時間で、体力に合った仕事を担当してもらうことで、生涯現役で働ける職場環境を整備してきた。介護業界が人員確保の問題を抱えるなか、同法人は共通の理念のもと、介護と障害者支援の現場において高齢職員がやりがいをもって安心して働ける職場づくりに取り組んでいる。改善内容(1)制度に関する改善▼定年制の改定同法人は2022年4月、定年年齢(60歳)と希望者全員の継続雇用の上限年齢(65歳)をそれぞれ5歳引き上げ、あわせて臨時職員の定年年齢も現行の65歳から70歳へと引き上げた。同法人も介護業界における人員確保の問題を抱えており、特に新卒採用は困難な状況であることから、介護を支える経験豊かな高齢職員が長く働けるよう定年制を改定した。▼柔軟な勤務制度の導入ム勤務のほかに短時間勤務制度も設けており、個人の希望に配慮して柔軟に決めることができる制度を導入している。継続雇用になった高齢職員の雇用形態は臨時職員となり、勤務時間を選択できることから、通院や孫の世話など自分のプライベートな時間に合わせて働き方を選べる。この柔軟な勤務制度は、高齢職員から歓迎されている。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み長との個別面談を実施している。これは、本人が事前に提出した「臨時職員継続雇用に関する調査書」と「評価チェックシート」などをもとに、直接、仕事や健康の状況について確認し、新契約における高齢職員の役割や働き方などを調整するものである。なお、事務局長との面談は高齢職員だけではなく全職員に対して実施しており、職員の適材適所の配置に活用している。臨時職員については、正職員と同じフルタイ高齢職員の1年ごとの契約更新時に、事務局▼個人面談の実施特別養護老人ホーム「ケアポートみまき」(写真提供:社会福祉法人みまき福祉会)1760歳以上の職員52人のうち女性職員が約8割ⅣⅣⅡⅡⅢⅢ

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