エルダー2023年11月号
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これにより、仕事の効率化とそれぞれの役割における働きやすさが向上した。高齢職員に対してオリエンテーション(組織のルール、求めている役割などを説明)や、職場のIT化のフォローを実施している。作業負担軽減のため、作業のマニュアル化に取り組んでいる。企業の沿革・事業内容2009年4月にクリニックを母体として創業し、同年11月に「ふじさわデイサービス」を開設して業務がスタート。2013年には、入居施設の需要の高まりに応えて「有料老人ホー改善内容2023年1月、就業規則を改め、正規・非勤務時間は、職員の希望を聞き毎月シフトをシフト表の作成を担当する渡わ邉な優ゆ子こ統括介護ム湧ゆ水す館か」を開設するとともに、「湧水館デイサービスセンター」、「ふじさわ訪問介護事業所」もスタートさせた。有料老人ホームは、医療機関と連携するなど手厚いケアを可能としている。2019年には、厚生労働省の「第3回働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」において「キラリと光る取り組み賞職業安定局長賞」を受賞。2022年には、「はたらく母子家庭・父子家庭応援企業表彰」の表彰を受けるなど、働きやすい環境が全国的にも評価されている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方以前は離職者が続くなど、人材不足の状況が続いていた。これを解消するため、高齢者をはじめ、学生や特定技能外国人、ひとり親など多様な人材を採用し、それぞれのライフスタイルの違いをうまく活かし、業務時間の穴をカバーすることとした。めており、最高年齢者は76歳だが、過去には80歳の介護職員が在籍していたこともあった。65歳定年時は、実態として何歳までも働ける環境であったが、制度として整備されておらず、60歳未満の職員から「65歳以降も働けるのかどうか」と将来を心配する声も聞かれていた。(1)制度に関する改善▼定年制の廃止正規職員ともに定年制を廃止。意欲があれば、基本的に何歳までも働ける職場になった。職員からは、「安心して働ける」という意見がほとんどであり廃止を実現。定年制の廃止以降は、採用活動において多くの応募がくるようにもなった。▼多様な勤務形態、短時間勤務制度を導入組んでいる。こまめに面談を行い、ライフステージに合った働き方ができるように努めてきた。それを可能にしているのは、多様なライフスタイルの人材である。主任は、作成・調整の苦労を語りつつ、「職員のみなさんがシフト調整のたいへんさを理解しているので、困ったときは『私が出勤します』と協力をしてくれて、助けられています。互いの状況がだんだんわかってくるなかで、『お互いさま』の気持ちが職場内に芽生えたように思います」と職場の変化を話す。この変化には、職員同士で感謝を伝える「サンクスカード」の取組みの効果もあるという。株式会社YKAが運営する「湧水館」65んいうたべう2160歳以上の職員は現在、全体の29・7%を占ⅢⅢⅡⅡⅣⅣ

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