賃金と比較し、その水準よりも必ず高めに設定するようにしている。そして人事評価により賞与においてメリハリをつけることで、介護職の賃金の納得感を高めている。これらの取組みが功を奏し、福祉事業部における離職率は、2015年の22%から、2022年は11%、2023年7月現在は6%と大きく改善している。▼多様な勤務形態・短時間勤務制度の導入福祉事業部の一般社員には早番・日勤・遅番・準深夜勤の4勤務形態、再雇用の高齢社員やパート社員には30種類以上の勤務形態を整備し、個人の事情に合わせた働き方が可能となっている。なお、65歳以上の高齢社員には、上司と総務部で1年間に2回の面談を実施し、心身の状況や心配ごとなど問題がないかを確認している。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み取組みや役割などの明確化定年後の昇給・昇格に関しては、建設・福祉両事業部とも正規社員と同様の評価で行っている。研修や資格取得に関しても同様で、高齢社員のモチベーション向上にもつながっている。▼高齢社員による技術・技能継承の仕組み建設現場における施工管理・安全管理・品質管理・環境管理にまつわる技術・技能継承のために、作業船の操船技術やクレーン作業時の安全確認の方法、汚染防止対策といった高齢社員がこれまでつちかってきた技術や心構えなどを、新入社員に指導している。▼高齢社員が活躍できるような支援の仕組み建設現場で働く高齢社員には、比較的危険の少ない指示業務をはじめ、クレーンのオペレーターや操船などの習熟を要する業務に就いてもらうとともに、現場でのコミュニケーションや連携の指導にあたっている。また、福祉事業部では、初めて介護サービスに従事する高齢社員が多くいるため、若手社員が高齢社員を指導することも多く、高齢社員の技術の習得状況や対応状況を見ながら進めている。キャリア形成支援の実施作業負荷軽減を目的に業務の電子化に取り組んでいる。それにともなうIT研修は、ほかの研修以上に手厚く指導をしている。教育担当者は、高齢社員にわかるまでていねいに指導しており、「こうやったらできるやん、ほらできた」、「やればできるやん」、「でも明日になったら忘れたるし」、「そしたらまた教えるわ」という会話が聞こえてくるなど、職場風土や職場コミュニケーションにもよい影響を与えている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み▼作業環境の改善福祉事業部では、過去に健康管理器具によるつまづきや転倒が発生したことを機に、動線や設置場所の見直しを実施。それにより事故防止対策の効果が出てきている。や意見をもとに業務や職場環境の改善に取り組んでいる。記名での意見には総務部や幹部社員、上司などが面談を行い、一つひとつ問題や悩みを解決している。いまでは「声のポスト」を通さなくても直接話しやすい環境になってきており、職場内のコミュニケーションが改善してきていることを実感している。力低下の現実を受けとめられず、心を病んでしまた、「声のポスト」を設置し、社員の提案メンタルヘルス対策の強化社員のなかには、けがや病気、加齢による体▼中高年社員を対象とした教育訓練、▼社員の高齢化にともなう健康管理、▼高齢社員のモチベーション向上に向けた「声のポスト」にはさまざまな意見が寄せられている(写真提供:株式会社石吉組)株式会社石吉組26
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