エルダー2023年11月号
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■■■■■■経験値をフルに活かし一人二役で会社に貢献する納期・品質を達成することができないからです」と経営方針を説明します。鉄工業界は、いわゆる〝3K職場〟といわれ、若い世代に敬遠されるうえ、そもそも地元の工業高校の生徒数が減少していることなどもあり、地元業界は高齢化が著しく進んでいます。競合他社の人員構成を見渡しても50代の社員が中心です。「当社は比較的若い世代が在籍していますが、高齢社員を含め、いかに長く勤務してもらい人材を確保できるかが会社の成長に大きく影響すると考えています」(岩本社長)そこで同社では、65歳の定年時に再雇用後の働き方として、パートタイム勤務とフルタイム勤務から選択できる制度を2020年に導入しました。パートタイムは希望する勤務日数と時間で働くことができ、定年前と同様の働き方を望む人はフルタイムで働くことができます。どちらも給与水準は定年前とほぼ変わらず、昇給、賞与もあります。また、健康支援の取組みとして、インフルエンザ予防接種、人間ドックの補助金を支給しているほか、横になれるよう休憩室を畳敷きの和室に改装しました。こうした高齢社員のモチベーションを維持するための仕組みづくりが先進的な高齢者雇用の取組みとして評価され、九州・山口生涯現役社会推進協議会が主催する「2022年生涯現役社会推進協議会推進大会」において、「九州・山口生涯現役社会推進協議会会長表彰」を受けました。同社の取組みは、中高年人材の確保にも好影響を与えているとのこと。「設計業務において、この数年の間に50代半ばの未経験者2人を採用しました。未経験ではありますが、職歴をふまえて設計業務の能力が習得できると判断したものです。採用から数年が経ち、現在は最先端の技術を習得して業務にあたっており、本人のやる気とつちかってきた能力の大きさを実感しています。また、他業界出身の65歳を採用した実績もあります」(岩本社長)竹馬プランナーは、2021年4月に同社を訪問した際、働き方改革に対応する嘱託社員制度の改善策などについて提案を行いました。今回は、各方面から同社の事業を下支えする高齢社員お2人にお話を聞きました。勤続53年の坂■本■龍■夫■さん(72歳)は、65歳の定年後、嘱託社員として再雇用されて7年目。週4日、8時から17時まで勤務しています。定年前は、製造部門にて製缶課・機械課で管理職を務め、工事部門および管理部門で部長を務めました。現在は、設計部門に人員が足りない状況から、正■和■さんは、坂本さんの人柄や仕事ぶりについて圧力容器などの設計やCADを使用して図面作成を行っています。「設計は受注したところからがスタート。間違いがないように、部門のメンバーと関連する情報についてコミュニケーションをとりながら進めています。若い世代は自分で考えながら仕事をするので、見ていると楽しいですね。これからも若手といっしょに会社の発展に尽力したいです」(坂本さん)坂本さんが工事部門の部長時に部下だった岩■間■設計部門と若手の教育で活躍する坂本龍夫さん(右)と元部下の岩間正和さん(左)2023.1136

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