エルダー2023年11月号
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■■「豊富な経験と知識に基づいたアドバイスがもらえて、とても頼りになります。現在は部署が違いますが、仕事の情報交換は頻繁に行っており、仕事がしやすいようにさりげなく調整をしてくれるなど、とても助かっています。坂本さんは設計部門の業務以外にも、新入社員の教育係や、管理部門のフォローをするなど、会社のためにさまざまな部門を支えてくれています」と話します。また、同社の定年制と継続雇用制度については、「働きたい気持ちがあれば働き続けられる環境が整っているのは、ありがたい」と感想を述べました。入社5年目の田■中■親■男■さん(70歳)は、品質保証課に所属。週5日、フルタイム勤務をしており、日々の業務に加えて労働安全衛生管理者も務めています。同社に入社する前は、化学・電気機器・半導体などのメーカーに勤めており、ISO9001内部監査員、環境計量士、衛生工学衛生管理者などの資格を保有しています。資格を活かし、専門学校で講師をしていたこともあるそうです。現在は、社内の若手を中心に、資格取得を推進する役割をになっています。岩本社長は「鉄工所関連の仕事は未経験でしたが、品質管理の資格と講師の経験が当社の力になると思い、採用しました。田中さんに品質管理をになってもらってから、製造トラブルとクレームが大幅に減少し、大きな成果が出ています」と、田中さんの仕事ぶりを高く評価します。「品質保証部門の役割は、搬出する製品の品質を確保すること。ものづくりがしっかりとできているかをチェックする役割です。この仕事の遂行には、材料から形にする製缶部門の協力が何より大切です。私の視点で見ると、製缶部門の業務に協力できることが何よりうれしいですね」(田中さん)と話すなど、部門間の相互協力がよりよい製品づくりにつながっていることが伝わってきました。労働安全衛生管理者としては、勤務する社員および外注者や派遣社員の衛生面での不具合を未然に防ぐための活動を行っています。「仕事はクレームゼロの維持が目標です。労働安全衛生管理者の後継者も決まったので、安全衛生の重要性をしっかり伝えていきたいですね」と意気込みを語りました。取材を終え、竹馬プランナーは次のように語りました。「摂津工業では、高齢社員の力をうまく引き出し、若手の教育を実施しています。製品の品質がよくなっているのも、採用した高齢社員の能力を活かしてのこと。高齢社員の力により会社がパワーアップしています。同社の取組みからは、根本にある人材を重要視する強い思いが伝わってきます」水俣市には、プラントに関する高い技術を持った中小企業群が集結しています。製缶、電気工事、保温工事、配管メーカーなどの各企業が、「チームみなまた」としてそれぞれの独自技術を活用し、品質管理体制を整え、全国に高品質なプラント機器を提供しているのです。摂津工業は、そのコア企業として企業群をリード。高品質のプラントは高い評価を得ており、会社の収益と地域を盛り上げていく事業として期待されています。その近い未来に、変わらず事業を支える高齢社員の姿があるに違いありません。(取材・西村玲)品質保証課に所属し、労働安全衛生管理者を兼務する田中親男さん37エルダー

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