「いつ」、「だれが」、「だれに対して」、「どこで」行っても高い再現性が認められるのが「行動科学マネジメント」石田 行動科学マネジメントとは、行動分析学をベースとしたマネジメント手法です。行動分析学は人間の行動を科学的に研究する学問ですが、人間の行動に焦点をあて、「行動をどのように変えていくか」を考えるのが行動科学マネジメントであり、セルフマネジメントや部下のマネジメント、子どもの教育などに応用されています。大きな特徴は、行動から人の心の状態を読み取ろうとするのではなく、シンプルに行動を見ること。持って生まれた能力や、やる気や根性といった曖昧な要素を徹底して排除し「状況に応じてどんな行動をすべきか」という再現性を重視しています。つまり、一部の突出したハイパフォーマーに頼るようなマネジメントではなく、8割の普通の人たちに結果を出してもらうことを目ざし、「いつ」、「だれが」、「だれに対して」、「どこで」行っても、同じような効果が出る、高い再現性が認められる科学的手法が、行動科学マネジメントです。最近では、いわゆる「Z世代」など、仕事観・価値観が異なる若手を含めて、だれがやっても結果を出せるような仕組みをつくりたいという企業が増えてきています。石田 者は40代がメイン層ですが、10年前とは明らかに環境が変わってきています。大きな変化の一つは、お金の問題。社会保険料率や消費税率の引上げ、コロナ禍以降の物価の高騰などもあり、生活の負担は増加傾向にあります。また、団塊世代が後期高齢者となることで生じる「2025年問題」により、さらなる負担の増加私が講師を務めるあるセミナーの参加も懸念されています。いま以上に負担が増えることになれば、会社の収入だけでは生活できなくなる可能性もあり、これからの働き方に悩んでいる中高年世代は増えています。バーシップ型」から「ジョブ型」への変化が注目されているように、年齢や過去の経験に関係なく、〝いまのビジネスに貢献する人材〟が優遇される時代になりつつあることです。これまでは、年功で給与が保障され、解雇されることもなく会社が守ってくれましたが、いまは出世が困難となり、「将来のキャリアは自分で決めよう」といわれます。20代ならそういわれても何の疑問も抱きませんが、40歳を過ぎて突然「自分で決めよう」といわれても、現実的にはむずかしいでしょう。自らキャリアを切り拓いていくためにも「リスキリング(学び直し)」が注目を集めていますが、仕事をしながら勉強をする、学校に通うというのはなかなかたいへんなことです。石田 二つ目の変化としてあげられるのは、「メンその通りです。例えばある業界では、―石田さんは、「行動科学マネジメント」という手法を使い、多くの企業で社員の行動変容をうながす指導をされています。行動科学マネジメントとはどういうものでしょうか。―石田さんは、行動科学マネジメントのセミナーなどを通して、中高年世代と接する機会が多いと思いますが、中高年世代を取りまく環境の変化をどう見ていますか。ジタル化の進展によりビジネスモデルが変化し、それまでの経験や知識が陳腐化し、通用しなくなっているという現実もありますね。―リスキリングが注目される背景には、デ2023.112株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長社団法人行動科学マネジメント研究所 所長石田 淳さん
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