エルダー2023年11月号
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いは、仕事ができない人だと思われるリスクがある(だから、従前通りのやり方でやった)。このように、対人関係のリスクとは、自分の発言や行動が、チームのほかのメンバーから「こんなふうにネガティブに受けとられるかもしれない」、「よかれと思って行動しても、罰を受けるかもしれない」という恐れからくるものです。上記の事例で見てきたように「罰」といっても、規定による罰則のような大きな罰ではなく、ちょっとした不愉快な反応も含めて「罰」と感じられます。この罰や不安が心理的に「非」安全な職場を生み出し、必要なことでさえメンバーが行動を控えるようになってしまう、厄介なチームの雰囲気が生まれてしまうのです。心理的「非」安全な職場は、「チームの学習」という観点で、大きく次の二つの問題があります。①挑戦することがリスク…実践し、模索し、行動することから学ぶということができなくなります。②情報の滞留と知識の蒸発…個々のメンバーが気づいていたり知っていたりすることを、うまくチームの財産へと変えることができません。つまり、チームというよりも分断された個人の集合(グループ)となってしまい、個人の学びはチーム・組織の学びとならないのです。一方「心理的安全な職場」は、このような対人リスクに怯えることや、忖度することにエネルギーを使う代わりに、「健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をすること、成果を出すことに力を注げる」チームです。「高齢者活用」というと、「高齢者をどのように活かすか」というラベルを貼って物事を見てしまいます。もちろん、高齢者全般にいえる、ケアすべき点・フォローすべき点もあるでしょうが、大原則としては「多様な人材を活かす、心理的安全性の高いチームをつくること」を目ざしていただく、そのチームの一員として、ときに高齢者とくくられる年代の人がいる。そのようなとらえ方をしたほうが結果として高齢者も含めて、全員が輝くチームに近づけます。成要素によってつくられるのでしょうか。私がシニアコンサルタントを務める株式会社ZENTechは、日本の組織文化・働き方・職場環境にあわせた「日本版・心理的安全性」づくりに取り組んできました。独自のサーベイシステムSAFETYZONE■を開発し、日本の1万チーム以上もの組織を計測。検証を重ねたところ、心理的安全性を高めるために重要な因子(要素)を見いだしました。それが「話しやすさ」、「助け合い」、「挑戦」、「新奇歓迎」の4つの因子です。組織・チームに心理的安全性があるとき、この「話■助■挑■新■」の「4つの因子」が高いと思ってください(図表2)。4つの因子は、それぞれのチームの状態を表すバロメーターでもあります。まずはこの4つの因子をモノサシとして、ご自身のチームに当ててみてください。【「話しやすさ」因子】雑談を含め、情報共有が頻繁に行われる環境はもちろん大切です。「話しやすさ」因子では、そのような情報共有の「量」に加えて「質」も大切です。例えば、あえての反対意見や、従来のサービスがうまくいっていない兆候など、あなたのチームは、「言いにくいけれど、仕事を前に進めるうえで大切なこと」、「不都合だけど、しかし必要な真実」が発言され、共有され、それが歓迎される環境でしょうか。【「助け合い」因子】チームワークの根本となる因子で、互いに助け合える環境のことです。日常的にリーダーや同僚と相談ができ、ミスやトラブルがあったとき、失敗した個人を責めるのではなく、解決・■■■■2023.11424では心こ理の的「心安理全的性安「全4性つ」のは、因ど子の」ような構

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