エルダー2023年11月号
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〈おわり〉過去の経験だけに頼るのではなくシニア人材こそ勉強が必要なかには50代後半にさしかかり、もうすぐ60歳という方もいます。そういった方たちを見ていると姿も仕事も活き活きとされていますので「60歳が高齢なのか?」と率直に思わされます。そのこともあり、深谷さんや島田さんのようにだと思っています。そこで、当社でも今後考えていかなければならないのが「高齢者雇用の形態をどのように整備していくのか」という課題です。例えばエンジニアは基本的にアウトプットで評価しますので、事前に上長と設定した成果を出せば、その対価としての給料をもらうという形でわかりやすいのですが、定年後に契約の形態が変わったために専門家として同じことをやっているのに報酬が下がるというのは、違うのではないかと感じるのです。当社でも就業規則としては定年制がありますが、私自身は定年後も仕事の成果に対して報酬が決まるべきだと考えていますので、そこに合わせて、納得できる報酬で働き続けられる制度を模索していく必要があると思います。深谷さんというモデルケースがありますが、深谷さんの場合は専門スキルがあって、技術的なアウトプットが明確なので評価しやすく、報酬を決めやすかったところがありました。しかしそれを会社としての評価制度にどう組み込んでいくか、普遍化していくかという制度設計はとてもむずかしいところがあり、会社もシニア人材もより納得できるような制度を目ざして、今後も議論を重ねていくべきだと考えています。当社では「キーレス社会の実現」をミッションに掲げていますが、これは「物理的な鍵を持たなくても一つのIDを持つことでいろいろなサービスがスムーズに利用できるような世の中にしたい」ということです。例えば、賃貸物件に入居するときには合鍵をつくるのが普通ですが、それをつくるのに鍵交換を含めて一つ数万円ぐらいの費用が発生します。しかしこれをデジタルに置き換えればスマートフォン上にデジタルな鍵の権限が付与されるので、それをかざすだけで部屋に入れるようになります。しかも利用者側のコストは発生しません。すでにこのサービスを提供し始めているのですが、このようにいろいろな分野に「キーレス」実現のニーズが存在します。つまり業界の数だけキーレスの提供価値があるということです。そういう意味では、その業界に精通している方であれば、当社ではシニア人材の活躍の場がこれからも拡大していくでしょう。だけでは通用しないのが現実です。エンジニアの世界では30代ですら20代と競争しています。もちろん40代でも当然20代と競争していて、場合によっては20代の方がある領域については詳しいという場合もあります。それでも年上の世代は総合力で勝とうと、切磋琢磨しているのです。スキルがあって、そこに新たな知見や情報が加わるからこそ対価が出てくるのですから、勉強し続けることはとても重要だと思いますし、それをいまでも続けている深谷さんは、やはりあらためて本当に凄いと感じます。大きく広がっていくと思います。それを活かすには自身のスキルや知見をつねに磨き、勉強し続けることができるかどうかにかかっているのではないでしょうか。ただし、すでにお話しした通り、過去の経験当社にかぎらず今後もシニア人材活躍の場は49エルダー70代、80代になっても活躍することは十分可能上場記念のパーティーで深谷さん(左)と熊谷取締役(右)(写真提供:株式会社Photosynth)スタートアップシニア人材奮闘闘記

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