次回は、「フリーランス」について解説します。※3 本連載第37回(2023年8月号)「人的資本」をご参照ください https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/202308.htmlDXの取組みはまだまだこれからほかにもありますが、人事領域においてはITシステムの導入も活用も後れているというのが、多くの会社で共通しているところです。それでは、HRDXによって人事はどのように変わっていくのでしょうか。最初のステップとしては人事業務の効率化があげられます。①②の理由もあり人事担当者は一日の多くの時間を目の前の制度運用対応や手作業に費やし、新たな取組みや提言を行う物理的な時間が不足しているといわれています。DX化により作業などの時間が削減できれば、新たな取組みなどに充てる時間が捻出できることになります。次のステップとして、人事にかかわるデータを収集・分析し、その結果を用いて人事施策の立案・決定に活かしていくこと(ピープルアナリティクス)があげられます。例えば、採用・人材配置などは③で記載したような経験則で最もやりがちな施策でしたが、優秀層の属性、行動・成果実績やスキルなどをデータ分析し、人材像を明確化したうえで実施する企業も増えています。さらにその先のステップとして、経営への貢献があげられます。人事部門に求められる役割は人事諸制度の運用改善から持続的な企業価値の向上への貢献に変化してきています※3。人的資本情報の把握(女性管理職比率、男女間賃金差異など)の情報整理はもとより、企業の中長期的な成長に対して、どのような人材を組み合わせれば達成できるか(人材ポートフォリオ)、そのために最適な採用や教育、働き方、組織風土は何かまでも提案・実行することが求められます。DXの定義にある会社の変革を人事面から推進することがHRDXの大きなゴールといえます。最後に、各社のDXの取組み状況について見ていきたいと思います。HRDXに絞った公的機関が出している統計は見あたらないため、DX全般の統計になりますが、「令和4年版 報通信白書」(総務省)によると、DXに関する取組みを進めている日本企業の割合(「全社戦略に基づき全社的に」、「一部の部門において」、「部署ごとに個別にDXに取組んでいる」企業の合計値)は約56%です(アメリカは約小企業のDX推進に関する調査」(独立行政法人中小企業基盤整備機構)によると、(「既に取り組んでいる」、「取り組みを検討している」企業の合計値)は、24・8%です。取組みが活発であるとはいいがたい理由としては、DXにかかわる人材やスキル不足のほか、「具体的な効果や成果が見えない」、「経営者の意識・理解が足りない」などがあげられています(図表参照)。HRDXについては、推進の必要性を経営者が理解することのハードルがより高いことが想定されるため、HRDXの目的と効果を事前に整理することがいっそう重要となります。出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査」(2022年5月)51エルダー図表 DXに取り組むに当たっての課題 (複数回答n=1,000)30%40%79%)。中小企業については、より少なく、「中情24.924.122.919.018.817.112.67.55.22.631.10%DXに関わる人材が足りないITに関わる人材が足りない具体的な効果や成果が見えない予算の確保が難しい経営者の意識・理解がたりないDXに取り組もうとする企業文化・風土がない何から始めてよいかわからないビジョンや経営戦略、ロードマップがない情報セキュリティの確保が難しい既存システムがブラックボックス化しているその他10%20%■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典
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