エルダー2023年11月号
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中■■原■■淳■■■ 著/■■勝■海■舟■は52歳で政界を引退後、西■郷■隆■盛■や最■■河■■合■敦■■■ 著/扶桑社/990円■■■■■■■■■■■■■■■高■■橋■■宣■■成■■ 著/技術評論社/人材開発・組織開発コンサルティング幕末・明治偉人たちの「定年後」デジタルリスキリング入門人と組織の「課題解決」入門企業やその経営活動において、人材開発・組織開発とはそもそもどのような意味を持つのか。本書は、「人と組織の課題解決を通して、経営や現場にプラスのインパクトを与える」という目的を持った「経営活動の一つ」と説明する。では、経営や現場にプラスのインパクトを与えるための課題解決とは…。このような問いかけにはじまり、人材開発・組織開発の役割を学ぶ第1部に続いて、第2部では、人材開発・組織開発の基礎的な知識や理論、企業における実践例などを紹介。本書のメインとなる第3部では、人材開発・組織開発の課題解決の具体的な進め方、そのプロセスの詳細を解説していく。本書はそのプロセスを、「①出会う、②合意をつくる、③データを集める、④フィードバックする、⑤実践する、⑥評価する、⑦別れる」という七つのステップに分けて、ステップごとに知識とノウハウを説明。さらに、よりよい課題解決者になるために、大事にしていきたい姿勢やアップデートの方法なども伝えている。経営者から、人事や人材開発担当者、社外コンサルタントまで、経営や現場で課題と格闘している人々が、その解決のためのノウハウを体系的、かつ網羅的に学べる一冊といえるだろう。時代を超えて学び続けるための戦略と実践技術革新やデジタル化の進展に対応するため、自らの職業能力をアップデートし、新しい知識やスキルを身につけるリスキリングが注目されている。本書の著者は、リスキリングについて、「市場ニーズに適合するため、保有している専門性に、新しい取り組みにも順応できるスキルを意図的に獲得し、自身の専門性を太く、変化に対応できるようにする取り組み」と説明する。そして、リスキリングは他人まかせにせず、自ら進んで行うものであると指摘。また、高齢になるほど雇用の安定性が失われていくことをふまえ、さまざまな選択肢を想定して自らリスキリングを重ねておくことの意義にもふれている。そこでまず大事になるのが、リスキリングをする力である。著者はこの力を、働くことで心理的成功、すなわち幸せを感じられる状態をつくること、また、それを維持するためにスキルをアップデートし続ける力であると解く。さらに、ビジネスパーソンがリスキリングを通して成功するための知識と戦略、行動していくための原則を伝え、自らの仕事仲間となってくれるデジタルスキルを身につける術を提供している。変化に適応する力を身につけたい人をはじめ、リスキリング力に悩む人にとっても参考になる。だれもが知る歴史上のあの人物は、晩年、どのように人生を仕上げていったのか。本書は、歴史作家の河合敦氏が、歴史の大転換期だった幕末から明治にかけて活躍した偉人たちの第一線から退く時期の行動や、そこからの人生に注目し調べてまとめた一冊。後の将軍・慶■喜■の名誉回復、旧幕臣の経済支援に努めて満75歳で生涯を閉じた。幕末に勝海舟と並んで活躍した高■橋■泥■舟■は、第二の人生であえて栄達を捨てる道を選び、それから30数年後、家族に看■取■られて満67歳でこの世を去った。「近代日本経済の父」と呼ばれる実業家の渋■沢■栄■一■は、努力し成功した後は社会福祉事業に全身全霊で取り組み、満91歳で大往生した。意外な分野への転身や生涯現役を貫いた生き方など、登場する人物が選び歩んだ道はどれもユニークであり、時代や環境が違っても現代人の定年後を充実させる参考になる姿であろう。100年後、自分の人生がこの本に紹介されることを勝手に想像してみるのもおもしろい。まだ空白のこれからの部分に、どんなことを書いてもらいたいだろう。本書は、そんなことも考えさせてくれる人生の指南書である。ダイヤモンド社/4950円2200円57エルダー経営にプラスの影響を与える課題解決の実践プロセスを詳説ユニークな生き方をした偉人たちから学ぶ、人生の指南書自分らしい、ありたい姿になるためのデジタルスキル習得術

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