934中高年男性が抱える再就職への不安中高年男性の活躍に寄与する副業・兼業まうのが現実です。一方、キャリアに関する研修や相談機会を得られた男性に、その効果について聞くと、「自分のキャリアを考えることの重要性を認識できた」が51・1%と最も高く、「ワークライフバランスを考える必要性を感じた」、「老後に必要な資産や生活設計について学べた」、「自分の強みと弱みなど自己分析できた」と続いています。定年が視野に入ってきた男性を対象に、キャリア研修や相談の場を設けることは、今後のキャリアを整理していくうえでも重要です。中高年男性の活躍をうながすためには、勤め先内外を問わず、キャリア研修やキャリアに関する相談機会を提供できる環境づくりが必要だと考えます。「中高年男性の労働価値観の実状」では、仕事への意欲は高いものの、職場環境でモチベーションが活かされておらず、キャリア研修やキャリアの相談ができる機会も少ないことを述べました。そのような状況において、中高年男性のなかには、自分がより活躍できる場を求めて、環境を変えるために定年後再就職をしたいと考える人も出てくることが想像されます。日本総合研究所の調査では、中高年男性が再就職してもよいと考える職種としては、一般事務・サポートが圧倒的に多く、介護や保育の職種に再就職してもよいと考える男性は5%未満であることが明らかになっています。一般事務・サポートの仕事は、どの世代でも非常に人気があり、高齢になってから、中途で採用されるのは容易ではありません。今後もニーズがある仕事としては、介護や保育といった分野があげられますが、中高年男性のそれらの分野への再就職に対する関心は低く、再就職市場の需要と中高年男性側の希望とのミスマッチが存在しているといえます。実際、調査のなかでも、大企業に所属している人ほど、定年後の再就職に関して、スキルのミスマッチで再就職がうまくいかないのではないかと不安を抱える男性が増える傾向がみられています。一方、中小企業・NPOなどへの再就職を希望する中高年男性は全体で約7割に上り、中小企業の人手不足状況をふまえれば、中小企業への再就職という選択肢は現実的です。しかし、中小企業では、少ない人数で、さまざまな仕事をこなさなければならないケースも多く、マルチタスクができる能力が求められます。大企業で働くことに慣れている中高年男性においては、再就職後のミスマッチを減らすために、中小企業・NPOなどでの副業・兼業を通じて、現場を知ることが必要だと考えます。に対して賛成している中高年男性は、「非常に賛成している」(23・9%)、「やや賛成している」(53・5%)を合わせ、約8割にのぼり、多くの男性が賛成していることが明らかになっています。副業に賛成する理由としては、「収入確保の手段の多様化につながる」(48・1%)が最も多く、「今まで培ってきた専門性を活かせる」(46・2%)、「新たな人間関係の構築につながる」(28・3%)と続いています。自由記述のなかでは、「年功序列が崩れて給料が下がるのは仕方がないが、生活を維持するために副業を認めてほしい」、「複数の仕事をこなして、それぞれ充実した意味のある人生にしたい」といった意見もあり、現状の働き方を改善するために、副業・兼業に新たな活路を見いだしたいという様子がうかがえます。半数は給与が削減されても副業・兼業を利用したいと考えており、副業・兼業を行うことによる給与減額の許容割合として、最も多いのが「0%~10%未満」(38・8%)、続いて「10%日本総合研究所の調査によれば、副業・兼業また、副業・兼業を希望する男性のうち、約
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