エルダー2023年12月号
14/68

3れそ2これまでのキャリア研修これからのキャリア研修ill/Can/Must※昨今、体験・越境を通じてキャリアに“気づき”を与えるプログラムも多くなっていますが、本稿では従来からある座学型の研修について考察します。キャリア研修は市場環境の変化や企業の状況などにより、いろいろなバリエーションがありますが、基本形としては「過去をふり返り、自分自身を見つめ直し、本当にやりたいことを見つけ、将来をイメージする」流れになっています。ただ昨今の環境変化、社員の多様性を考えると、考慮しなければならない点がいくつか見えてきます。・黄た昏が感が漂う研修内容将来の夢、価値観、ファイナンシャルプラン(退職金や将来の年金)という内容が続くと、受講者は「私ももうこんな年齢になったんだ…」という黄昏を感じてしまいます。「がんばろう」と思った方がキャリア研修に出たことで逆に「モチベーションが下がった」という調査結果を目にしたこともあります。・プライバシーに関する内容多くの場合、同じ会社の、同年代の方が集まって研修を行っています。また人事の担当者もグループワークの様子をうかがったりしているなかでは、なかなか本当のことを語るのがむずかしい環境です。多様な働き方・生き方が広がるなかで、まだ子どもが小さい方、独身の方、ご両親の介護中の方など、参加者の状況もさまざまで、その背景にあるお金、家族、病気というキャリアに大きな影響を与える重要なことに触れられないまま研修が進んでしまうこともあるでしょう。・かぎられた時間多くの企業で行われているキャリア研修は1日、もしくは2日の終日型です。参加者は、日ごろからキャリアを考えてはいない方が多く、また研修内容や進行にも不慣れなため、受講者は講師の進行に流されるようなイメージ(講義→個人ワーク5分→グループ討議10分→全体共有、をくり返し、最後に計画書を書いて終了など)を持たれているのではないでしょうか。このような流れのなかで納得感のある計画を立てることはむずかしく、またそのように立てた計画であるため、研修後に読み返されることが少ないのかもしれません。ミドル世代の社員も、黄昏れるのではなく、さらにキャリア自律度を高め、より会社に貢献することが求められる時代です。社員のキャリア自律度は「きっかけ」→「自己理解」→「主体的行動」→「挑戦」というステップをふみながら高めていくのが一般的ですが、主体的な行動(具体的な行動変容)につなげるには図表2の右図のような大きな壁がそびえたっているのではないでしょうか。受講者に大きな気づきを与え、しっかりとフォローし、いかに多くの方がキャリア自律の階段を上がることができるか、これまでに述べた課題に対してどのようなポイントが重要になるかについて、まとめていきます。・リスキリング(学び直し)社の変化・成長に対応し、いままで以上に貢献できる社員が求められると思います。従来の研修にもあったWインのフレームワーク)はもちろん重要ですが、より具体化することが求められています。クニカルスキル」という考え方があることを理解するに留まっていましたが、これからは各自がどのようなスキルを所持しているのか、できるかぎり具体的にリストアップ(スキルの因数分解)し、そのスキルを環境変化(「少子化」、「DX化」のような抽象的な表現ではなく、各自が所属する組織・企業の5年後、10年後の変化)環境の変化、技術の進歩が加速するなか、会例えば、これまでは「ポータブルスキル」、「テ(キャリアデザ12

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る