エルダー2023年12月号
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定年制の制度設計のためのおもな四つの取組みベーションを高めたり、他者の価値観に触れることで、気づきを得られる研修となっている。研修終了後には、フォローアップのためのアンケートを行い、自分は何がしたいか、実現したいことは何かを意味する「WILL」、自分は何ができるかを意味する「CAN」、何を求められているか、するべきことは何かを意味する「MUST」について、改めて考える機会を設けている(図表4)。員が対象。はじめに自分自身が人生やキャリアのどこにいるのかを24時間の時間軸で例えて考えることで、55歳ではまだゴールが先にあること、キャリアの後半は主体的・自律的に考えて行動することが必要とされる時代になっていることを理解してもらう。そしてグループワークを通して「ベテラン社員が活き活き働く」ための課題や思い(出世や報酬といった外的キャリア志向から、社会や他者への貢献欲求などの内的キャリア志向が強まることなど)を共有する。そのうえで、現時点での「WILL」、「CAN」、「MUST」を考え、今後「新たな領域」で組織に貢献・活躍していくための課題の洗い出しを行い、「やりがい」をふまえた目標を設定し「行動変革」を宣言する内容となっている。同社でミドル世代向けの研修を担当している、人事部労政室の岩い瀬せ恵え理り子こチームリーダーは、うに話す。「55歳では、65歳の定年までまだ10年もあるなか、働きがいを高めるように気持ちを向けてほしいと考えています。『技能伝承』や『後進育成』はベテラン層にしかできないことであり、ベテランだからこそ持っている豊富な知見や経験を頼りにしていること、周囲から『いつもありがとう』と感謝されるような人になってほしいことを伝えていくことを意識しています」向けミドル期からの手厚い施策を展開しているが、そもそも65歳定年制を導入する制度設計のコンセプトとして、60歳以降も変わらぬ能力発このように、同社ではシニア期の活躍推進に55歳研修を実施するうえでのポイントを次のよ55歳研修は、事技職および製造現場の社員全できること 能力・スキル 経験ノウハウ 持ち味・強み社内外環境からの要請会社・職場の期待なすべきこと25Ⓒ豊田合成株式会社わⒸ豊田合成株式会社特集ミドル世代から始める 生涯現役時代のキャリア研修図表5 65歳定年制の制度設計キーワード安心感をもって働き続けられる環境づくり安心感をもって働き続けられる環境づくり~無年金期間も安心して仕事に専念できる~~無年金期間も安心して仕事に専念できる~トヨタグループの一員としてチャレンジ・活躍し続けることを後押し~頑張り続けることができる~エルダー図表4 豊田合成におけるWILL-CAN-MUSTの定義培った技術・技能・経験を後世につなぎ、組織としての総合力を高める~知見を活かし、チーム力を高める~65歳自分は何がしたいか実現したいことは何かやりたいこと 続けたいこと 意思・目標・価値観(自分にとって重要な事柄・テーマ)重複部分何を求められているか するべきことは何かキーワード安 心自分は何ができるか活 躍伝 承

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