定年を意識する研修を実施後半を対象に回らず、社員の高齢化の進展につながりました」社員の高齢化に対し現場からも戸惑いの声が聞こえてくるという。再雇用になった高齢社員からすると、上司と部下の関係が入れ替わり、かつての部下が上司になったり、再雇用にともなう役割や職責の変更により、同じような職務であっても給料が下がったりと、さまざまな変化に直面している。一方、若手や中堅社員にとっては、かつて上司だった人が自分の部下になり、どう接すればよいのかということを悩んでいるという。こうした現場の状況をふまえ、同社では、対応策の検討を実施。社員の高齢化をはじめとした現状の理解と、再雇用制度による高齢者活用についての解説書を作成し社内に周知するなど、社員全員で会社の未来を考えていく風土の醸成を目ざしている。同時に、2018年に当機構(JEED)の企画立案サービス※1を受けたことがあったことから、2022年4月に、あらためてJEED宮城支部あてに、70歳雇用推進プランナー等による相談・助言を依頼することとなった。JEED宮城支部の70歳雇用推進プランナーである大お場ば宣の英ひさんは、2018年に同社への企画立案サービスを担当し、昇進・昇格制度、および教育制度策定の支援を行った。 「当時は40〜50代の社員が多く、今後高齢者が増加することは明らかでした。さまざまお話をうかがったところ、社員のモチベーション向上をうながすための動機づけと人材の戦力化が課題にあがりました。そこで、全社員を対象に計画的・継続的に人材育成を進めていくための昇進・昇格制度、教育制度を策定し、導入に向けた支援を行いました」(大場プランナー)その後、2022年4月に同社から再び相談があったことを受け、大場プランナーが再訪問を実施。高齢社員戦力化のための「雇用力評価ツール」による診断結果をふまえ、就業意識向上研修※2のなかから、50代後半の社員を対象にした「生涯現役エキスパート研修」を提案し、同年6月に研修を実施した(同時期に再雇用社員の上司を対象にした「職場管理者研修」も実施)。2023年6月にも「生涯現役エキスパート研修」を実施している。「生涯現役エキスパート研修」は、定年を意識している年齢の社員に焦点をあて、55〜59歳の社員12人を対象に1日がかりで実施した。じつは、同社にとって、このような社内研修の実施は初めてのこと。対象となる世代の社員たちは、各現場の責任をになう立場にあり、そういったメンバーが丸1日業務から外れることは、かなりイレギュラーな対応であったと村む田た政ま広ひ総務部長付は話す。「1日を通して彼らが職場にいない状況は、※1 https://www.jeed.go.jp/elderly/employer/plan_services.html※2 本誌31ページをご参照ください通常ではありえません。また、受講者のなかには、座学で1日学ぶという経験は数十年ぶりという人もおり、不安を感じている人もいましたが、『今後の会社のためにも、自分のためにも、がんばりましょう』と鼓舞して参加してもらいました」(村田総務部長付)をふまえて、講師を務めるプランナーが策定する。同社からは、再雇用後のモチベーションをいかに維持していくか、そして世代間のコミュニケーションを円滑にするためのポイントな就業意識向上研修の内容は、実施企業の要望でぶお➡らさろ28本多正和取締役総務部長(右)、村田政広総務部長付(左)50代
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