エルダー2023年12月号
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わけではない。受講者には、研修効果を高めるための宿題が、大場プランナーより出されている。「受講者には、『生涯現役エキスパート・実行計画シート』を作成するという宿題を出しました。シートには今回学んだ内容をふまえて、これから挑戦する業務課題を書き出し、そのために『何を実行して』、『いつまでに』、『どの程度まで達成するか』を記入してもらいます。同様に個人の仕事のやり方、能力など、改善が必要な課題についても書き出してもらい、これらの課題達成に向けて、意識・生活の改善をうながすため、平日・休日の過ごし方を変える生活計画を立ててもらいました。研修で学び、自ら決めたことを日々の生活で実行していくことは、漠然とした不安感の解消につながります」(大場プランナー)「生涯現役エキスパート・実行計画シート」は受講者全員が作成し、各々の上司と共有した。上司は当人の考えている課題を共有し、この先の再雇用に向けて、本人の考えを知ることにもつながる。「これまで一生懸命仕事に取り組んできた50代後半の社員は、この先、仕事のみならず生活面でも自分を取り巻く環境に間違いなく変化が起こります。このまま定年に突入して変化に対応できず戸惑うことがないよう、自分の職業人生をふり返って棚卸しすることで、変化に対応するための心構えができます。高齢社員は経験が豊富で、対応力が高く、勤勉に仕事に取り組める人材です。彼らを戦力として活用することができれば、会社にとって大きな力となります。私は、再雇用者の割合が高くなるこの状況を、理研食品さんにチャンスととらえていただき、正面から向き合い高齢社員活用のバネにしてもらいたいのです。これがミドル世代を対象にしたこの研修のねらいです」(大場プランナー)研修後に大場プランナーが実施したアンケートでは、受講者の100%が、「よく理解ができた」または「理解ができた」と回答。92%が「研修内容はこれからの就業・生活にかなり役立つ」および「役立つ」と回答している。受講者の感想として、「自分の強みを棚卸しすることができ、定年までにやるべきことが明確になった(57歳)」、「拭された(56歳)」などの声があがっている。村田総務部長付は、研修の効果について次のように話す。「上司も再雇用になる人とどう接したらよいのか、迷っていました。受講者が作成した実行計画を上司と共有することで、定年を控えた世代の社員が何を考えているのか、どう職場でやっていきたいのか、各自がそれぞれ職場における課題を持っていることなどがわかり、双方のコミュ定年後について抱えていた不安が払ニケーション向上につながっています。研修は、今後の職場改善に向けたよい機会となりました。とで、ミドル世代社員自身の問題だけではなく、若い世代への技術伝承など、会社として取り組むべき課題も浮き彫りになりました。研修を実施しただけで終わらせないために、いかに職場の改善に結びつけていくのか、評価につなげる仕組みづくりまで進め、スパイラルアップを図りたいです」「これから会社として発展していくうえで、人手不足は大きな課題です。JEEDさんに初めて相談をしたころは、65歳までの雇用をどうするか、どう満足いくように働いてもらうかを考えていましたが、現在はそれだけではすまない状況に直面しています。65歳超、70歳までの雇用についても考えていかなくてはなりません。再雇用者がもっとも多くなる2026年は、今回研修を受けた社員が定年を迎え再雇用に移行する時期でもあるので、そのときによい結果が出ることを期待しています」の適応である。大きな環境変化である再雇用者の増加に対応するため、ミドル世代に焦点をあてた研修は、人材の戦力化に向けた第一歩となる。また、今回、ミドル世代の課題を整理するこ最後に本多部長は次のように締めくくった。企業経営において最も重要なのは環境変化へ30

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