エルダー2023年12月号
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老中テスト八代将軍徳■川■吉■宗■の改革は、〝市民を政治の対象〟にしたので目新しく、「幕府中興の祖」といわれる。名江戸町奉行大■岡■忠■相■とのコンビで有名だ。しかしその陰に静かな支え手がいた。水野忠之だ。吉宗との密約で、「改革の悪評はわたしが引き受けましょう」と悪役を引き受けた。奇妙な大名だ。三河(愛知県)岡崎城の城主で、源氏の名門で徳川家にとっても縁が深い。吉宗は将軍になったとき、実は重役(老中・大臣)の試問をおこなった。「ことしの幕府の総予算額は」「すでに支出額は」「補正の必要は」「いま役人の総定員は」「補填の必要は」などと、係長クラスなら常識程度の問いだ。だが老中たちは答えられなかった。吉宗はガッカリした。が、なかにひとりだけ吉宗が問うたびにニコリとほほ笑む大名がいた。決意して、「名は?」■■■■■■■■2023.1232[第133回]

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