避けられない若者の都心部への流出人手不足を高齢者が補う大矢 青森県、岩手県、秋田県、山形県、宮城県の5県の2015(平成27)年から2020(令和2)年の雇用者数の増減を国勢調査で調べてみました。全国で見ると、男性のの女性や男性の雇用者数増加がカバーするなど、全体的に雇用者数は増えています。東京都は15〜59歳層も含めてすべての年齢層で増加していますし、宮城県も60歳未満層は減少していますが、男女の高齢者がカバーし、雇用者数はプラスに転じています。一方、残念ながら宮城県以外の4県は60歳 だけを見ても18歳人口が急激に低下し、男女未満層の減少を高齢者がカバーしているものの、雇用者数はかなり減少しています。その背景には若者の地元離れがあります。青森県ともに大学進学と同時に県外に出ていってしまいます。若年労働力の流出をなんとか防ぎたいのですが、「雇用がない」、「魅力的な職場がない」、「賃金が安い」とよくいわれますし、親も「戻ってこい」とはいいにくい状況なのです。若者たちにとっても「地元に戻って、はたして生活できるだろうか」というジレンマを抱えているのが現状だと思います。大矢 まくいっているとはいえません。「令和4年雇用動向調査」(厚生労働省)の欠員率※を見ると、やはり東北地方の欠員率が全国平均よりも高いのです。また、「労働力調査」(2022年・総務省)から2021年の65歳以上の産業別高齢者比率をとり、同時期の産業別欠員率との相関関係を調べたところ、相関係数は約0・者が就業している割合が高い傾向にあり、欠Uターンの実例はありますが、あまりう員を高齢者が埋めているのではないかと推測されます。一方、「令和3年雇用動向調査」(厚生労働省)の都道府県別入職者に関する集計から求めた、いままで仕事をしたことがない19歳から24歳の未就職者が入職者に占める割合と、関係数はマイナス0・42です。単純な相関ですが若者の就職者が多い企業には高齢者の転職者が少ない傾向があるといえるでしょう。逆にいえば、若者が行かない企業・業界を高齢者が補っているという推測も成り立ちます。大矢 以上の女性の就業率、有業率ともに全国平均よりやや高いという特徴があげられます。その背景には東北地方は他地域に比べて農業従事者が多く、女性の労働力も必要とされてきたことがあります。もう一つは「令和4年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)でも明らかですが、青森県をはじめ北東北地方は賃金水準が低く、収入を補うために働く女性が多いのではと考えられます。女性に関しては、例えば青森県の50歳また勤務先も100人未満の企業が中心―人口減少が進み、地方や地域の企業においても、にない手不足が深刻だといわれています。地方の企業が抱えている現状について教えてください。―若者が出ていくというのは、きわめて深刻な事態です。いうことですが、地方で働く女性や高齢者の現状はどうなっているのでしょうか。―高齢者が不可欠な労働力になっていると青森公立大学 経営経済学部 教授大矢奈美さん2023.122※ 欠員率……常用労働者に対する未充足求人数の割合55でした。つまり、欠員率が高い産業ほど高齢15〜59歳層の雇用者数の減少を、60〜74歳層60歳以上の転職者が入職者に占める割合の相
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