エルダー2023年12月号
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高度な職務を任されることを前提に、高い報酬が与えられている部長職について、期待された成果が出ていないことから定年後の再雇用を控えることはできるのでしょうか。Q2定年後再雇用の要件高度専門職に対する解雇判断高度な専門職を対象とする場合、解雇相当と認められる可能性が高くなるため、通常の定年後再雇用と比較して、再雇用を控えることができる可能性は高いと考えられます。ただし、定年後の業務内容や条件を十分に提示することは必要です。更されている)ような事案であったことから、極端な職務内容の変更は労働者自身の自由な1高年齢者雇用安定法では、継続雇用制度について、現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度と定義されており、定年後の再雇用については、就業規則に定める解雇または退職に相当する事由などがないかぎりは、原則として継続雇用希望者については、ています。例えば、厚生労働省のQ&Aにおいては、意思による承諾が得られないかぎりは控えておくべきでしょう。「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されたことから、定年時に継続雇用しない特別な事由を設けている場合は、高年齢者雇用安定法違反となります。ただし、就業規則の解雇事由又は退職事由と同じ内容を、継続雇用しない事由として、別に規定することは可能であり、例えば以下のような就業規則が考えられます」とされています。なお、「就業規則の解雇事由又は退職事由のうち、例えば試用期間中の解雇のように継続雇用しない事由になじまないものを除くことは差し支えありません。しかし、解雇事由又は退職事由と別の事由を追加することは、継続雇用しない特別な事由を設けることになるため、認められません」とされています。解雇に相当するような事由がないかぎりは、定年後再雇用をしないという判断をすることは、高年齢者雇用安定法違反になると考えられますので、継続雇用を控えるためには解雇事由が十分に認められるのかという判断が重要になります。2東スイス証券〈職位廃止解雇〉事件)では、高度な職務に就くことを前提に高額報酬を得ていた従業員について、整理解雇の対象としたことが、許容されるか否かが争点になりました。原告は、高度な職位(投資運用部のプロジェクト・リーダー)としての役割を期待されていた労働者で、事業譲渡にともない移籍したところ、引き続き部長職として高度な職務を任されていました。たっての税務処理などの商品設計上の課題が山積みしており、適切に対応できておらず、当該部門自体を最終的に閉鎖するという判断に至り、原告に対しては退職勧奨が実施されました。原告はこれに応じなかったことから、厚生労働省のQ&Aをふまえると、退職や京地裁令和4年4月12日判決(クレディ・しかし、商品を日本国内で販売するにあ高度専門職の社員を定年後再雇用しないことはできますか2023.124665歳までは再雇用しなければならないとされA

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