エルダー2024年1月号
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「働き方改革宣言」による休暇増加が公私充実の■日々の生活のうち、働いて過ごすことで充実感を得るという高齢者は少なくない。同社の高齢社員もみんな働き者だ。そこで会社として、できるかぎり働きやすい職場環境を整え、生活の質の向上、ひいては人生の豊かさにつなげたいとの思いで、2019(平成31)年3月18日に「TOKYO働き方改革宣言」を行った。「TOKYO働き方改革宣言企業」制度は、東京都が都内企業の働き方改革の気運を高めていくため創設し、働き方・休み方の改善に向けて、「働き方改革宣言」を行う企業にさまざまな支援を行うというもの(宣言企業の募集は2020年度で終了)。宣言した企業は、社員の長時間労働の削減、年次有給休暇の取得促進などに向けた目標および取組み内容を定め、「働き方改革宣言」を行い、会社をあげて取り組む。同社は、働き方改革の目標として、「時間外労働・休日出勤を減らし、月の残業時間45時間以内を目ざす(働き方の改善)」、「業務のばらつきがなくなるように全員が平等に休暇を取得できるような職場をつくる(休み方の改善)」を宣言した。具体的な取組みは次の通り。人員がいない体制において、不調の出現を防げていることは事業所にとっても大きい利点となった。1カ月ごとに作成を行うが、シフト決定後の休暇申請にも柔軟に対応している。「仲間と旅行に行きたいから」と追加の休暇を相談されることもしばしばだ。旅行好きな高齢社員はよく連休を取得して旅行に出かけ、驚くほど土産を買い込み社内で配ってくれるという。ともあり非常に柔軟だ。70代以上の高齢社員の大半はパートタイマーで、週5日、8時〜17時の勤務を基本とするが、朝型が多い高齢者に合わせて柔軟に働くことができる仕組みとなっている。「高齢者は朝が早い人も多く、7時には仕事を始める社員もいますので、帰りはその分早く退社してもよいことにしています」(青木代表取締役)よる休暇取得の取組みにより、高齢社員が働きながらゆとりある生活を実現している。勤務シフトは全員分を一覧表にしたもので、朝型の社員に合わせた柔軟な勤務体制も同社における勤務体制は、高齢社員が多いこ柔軟な働き方や、前述の「休み方の改善」に■「働き方の改善」の具体的な取組み・業務の効率化、見える化を行い、作業分担をしっかり行う・業務の週間管理表を作成する・工数のかかる作業を見える化し、IT化していく■「休み方の改善」の具体的な取組み・休日をシフト制にする・社員全員の休暇申請・取得状況を見える化する・社員全員の休暇希望を見える化し、効率よく作業できるようにする宣言による目標の設定と取組み内容の明文化は、取組みを推進するにあたり高い効果があった。「特に休み方の改善は実施して非常によかったと思います」と青木代表取締役は話す。というのも、都市開発の現場は土曜日も稼働していることが多く、資材の当日配送に対応するには、週6日事業所を開所させなくてはならず、必然的に社員たちは週6日勤務になっていた。そこで、働き方改革宣言をきっかけにシフト勤務を導入したことで、完全週休二日制を実現、日々の業務による疲労回復にもつながっている。特に、体力が落ちる高齢社員にとって、疲労は心身の不調をきたす要因の一つ。かつ余剰2024.112

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