伸び伸びできる仕事が生活全体を豊かにする同社の高齢社員が働く理由として、「孫に小遣いをあげたい」、「旅行がしたい」、「外食を楽しみたい」など、収入に期待する一面がある一方で、「働くことそのものが心身のためによい」と感じ、気負いなく働いている人がほとんどだという。4年前、ハローワークを通じて入社したフォークリフト担当のAさん(77歳)は、同社が出していた希望条件と合わず、年齢も70歳を超えていたことから、青木代表取締役は、採用におよび腰だったという。しかし、ハローワークの担当者から「やる気がある人だから」と説得され、面接を実施したところ年齢を感じさせないパワーとやる気がある人物だったため、「お会いしてみてその場で採用を決めました」という。Aさんは社交的で友人関係が広く、プライベートはひんぱんに仲間と国内旅行に出かけるなど、休暇をアクティブに過ごしている。Bさん(76歳)は、40年近くフォークリフトに乗る大ベテランだ。「フォークリフトの上で生涯を終えるに違いない」と尊敬を込めて冗談をいわれるほどの熱意で日々の仕事に励んでいるという。Bさんは悪性腫瘍の療養を終え、仕事復帰を考えていたところ、Aさんの紹介で入社した。入社間もないころは体調を崩すこともあり、周囲は心配したが、働くにつれ元気を取り戻し、いまは活き活きとフォークリフトを操っている。「働かないと動けなくなる」といわんばかりに、仕事が生活の張合いになっているという。正社員のCさん(70歳)は、長年事務の屋台骨を支えてきた人物。働き方改革宣言後、物流システムの見直しを行い、だれでも仕入れや出荷の情報を確認できるようにしたことでCさんの負担も減少、月次精算の処理も楽になった。「システム入れ替え前と比べて残業がほぼなくなり、プライベートの時間が増えた」と喜んでいるそうだ。いる配達担当のDさん(71歳)は、個人で所有するトラックが故障し廃業を考えていたが、会社がトラックを購入し貸与する形で仕事を続けてもらっている。敷地内に果樹を植えたり、さまざまな小道具を手づくりしたりと、職場環境改善の工夫に取り組んできた人物。2年前に病気で倒れ、以降、土・日曜日固定で休みをとっている。この事情を社員全員が理解し、Eさんが土・日に休めるよう協力してシフト調整をしている。者です。若手や中堅なら『もう終わりにしておこうかな』という場面で、『これだけは終わらせる』というふんばりが利くところがすごいと思います。文句の一つもいわず、任せた仕事をしっかりこなしてくれます」と感謝の念を口にした。ブルやゴミ箱なども必要に応じて高齢社員たちが手づくりしたものばかり。「高齢社員は自分青木代表取締役は、「高齢社員は本当に働き高齢社員の自主性を最大限に尊重し環境整備同社の構内は、どこも自主的に整頓され、テー13フォークリフトを扱うBさん(右)特集シニア世代のワーク・ライフ・バランスエルダー60歳が目前のEさん(59歳)は、社歴が長く、20年以上業務委託で同社の仕事を請け負って
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