高齢社員を尊重することが社員全体の公私の質を高める同社の定年は65歳だが、65歳を超えて働く人今後も高齢社員が年齢を重ねていくなか、仕たちで工夫して楽しむ達人」(青木代表取締役)というように、仕事場も、休憩場所もおのずと働きやすく、くつろげる空間にしている。「どんなものでも、あるものを利用してつくってしまうからすごいですよ。職場環境の改善につながる、『こういった作業で、こんな素材を使った什器がつくりたいから材料がほしい』という要望には、しっかり応えていきます」また、高齢社員の意見は会議の場でもしっかり吸い上げるようにしている。月に一回実施する全体会議は、社員全員が発表する機会となっており、高齢社員からは、日々の業務に関する要望が多い。「出庫表の伝票を大きく見やすくしてほしい」、「入庫時に物を置かないでほしい」、「在庫にこの商材はいらない」など、指摘があった状況を改善し、働きやすい職場づくりに努めている。建設需要の高まりや競合他社の減少などを背景に、同社の業績は上向きで、社内の雰囲気もよいと話す青木代表取締役。好調なときこそ、その利益をしっかり社員に還元するのも日青木材流だ。事務所の椅子をすべてアームレストつきの高品質なオフィスチェアに入れ替えたほか、トイレを改装し、きれいな個室を設けて最新式のシステムトイレにリフォーム。月の売上目標を達成した翌月は、老舗料理店の豪華な弁当をとって全員で食べるなどしており、社員の楽しみの一つにもなっている。高齢社員の健康を守る環境づくりにおいても余念がない。夏はペットボトルのお茶を冷蔵庫に用意し、こまめに水分補給ができるようにしているほか、夏の厳しい日ざしのもとで行う作業の負担を和らげるため、ファンつきの作業着を会社負担で配付した。社員がくつろぐ休憩室には、洗面台、給湯室、冷蔵庫、トイレを完備している。また、2021年からは、社員各自の毎日の歩数を一覧表に記録し、健康意識を高めるための取組みも行っている。コロナ禍を経て、最近はインフルエンザが流行していることもあり、青木代表取締役が朝出勤した際に、事務所内の扉など、人の出入りがある場所に消毒液を噴霧して拭き上げている。「余剰人員がいないので、感染症が流行ったら営業はままなりません」と説明するも、それ以前に高齢社員の体調を心配し、これ以上ないほど大切にしているからこそ成せる配慮である。「彼らにこれ以上年をとらないでほしいです。会社の若返りも考えていません。いまの状態が非常によいので、このまま続けばよいですね」と話してくれた。がほとんどであることもあり、定年制の撤廃を検討中だという。「定年撤廃の前に、この先2〜3年の間で週休3日制を実現するつもりです。ですが、現状のシフト勤務から月2日休日を増やせば週休2・5日になるので、これはすぐにでも実行できる気がします」と青木代表取締役は軽やかな口調で抱負を語った。事と余暇、心と身体のバランスが整った生活を実現していくために、会社の仕組みを柔軟に変えていく。そんな同社の高齢社員を尊重する柔軟な取組みが、高齢社員のみならず社員全員のQOLを高め続けていくだろう。2024.114敷地内には大小さまざまな資材が集積され取引先のニーズに応えている
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