エルダー2024年1月号
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https://www.karny.jzoo@karny.jp/■■東京都江東区平野2ー17ー4れることもある。豆は焙煎度の異なるブラジル、コスタリカ、グアテマラなど8種類を常備しており、自分の好みを伝えると、奥野さんがその場でコーヒー豆を選んでくれる。いまでこそドリップで抽出しながらお客さんと会話ができるようになったが、もともと口下手な方だったので、以前はなかなかお客さんとコミュニケーションをとることができなかった。黙々とコーヒーを淹れる奥野さんを見かねて、明美さんが「短い言葉でもいいから何か話しかけてみれば」と助言。高知空港で働いていた際は接客も担当していた明美さんならではのアドバイスだ。いまでは常連さんが、コーヒーはもちろん、カウンター越しのおしゃべりが楽しみでお店が開いているときは毎日のように集まってくる。こぢんまりした店内はお客さんが座るスペースもかぎられているため、テイクアウトの人が多いが、なかには立って飲んで帰る方もいるそうだ。カウンター越しに奥野さんとお客さんの話が弾み、そこに明美さんが加わって店内は笑い声が絶えない。店の名前は、あるとき7人の孫たちが一堂に集まったとき、まるで動物園のようににぎやかだったことから、人がにぎやかに集まってほしいという思いを込めて「zoo」という言葉を入れたそうだ。お店のカードや看板、店内のいたるところに見え隠れする可愛いゾウのイラストは奥野さんの作品である。「現在金曜日から日曜日の3日間だけ開店し、業時間です。週末3日のみの開店は、私のダブルワーク時代からの慣習そのままです。いまは専業になったので毎日開店ということもできますが、私のようなシニアが長く仕事を続けていくためには決して無理をしないことが大切です。お客さまには申し訳ないけれど、いまではみなさん、よくわかってくださっています。私たちもお客さまに会える週末がとても楽しみで、いろいろな方に支えられ今日まで頑張ってこられました」と奥野さん。シニア世代よ 起業を実現し夢を叶えよう「シニアは起業しやすいと私が思うのは、なにより人生経験が豊富だからです。また、起業は良くも悪くも自己責任を全■うしなければいけませんが、まじめで責任感のあるシニアならクリアできるはずです。ただ、人から学ぶことは大切ですが、方法を簡単に他人にたずねることだけはしてはいけません。自分の夢を叶えるために、まずは自分の頭でしっかり考え構想を練るべきです。ワーク・ライフ・バランスという概念は個人経営者にはあまり必要ないと私は思います。ワークそのものがライフというか、働くことが生きがいなのですから。もし、バランスということをいうなら、趣味を持ち仕事にのめりこみ過ぎないことでしょうか。お伝えします。一つめは何より『健康』です。工夫して健康維持に努めていきましょう。二つめは『謙虚であれ』ということです。いばり散らしては若者の成長をじゃまするだけです。年をとればとるほど聞く力を養っていきたいものです。そして最後は『感謝』です。パートナーや家族、友人、お客さまはもちろん、私たちの店を支えてくれるあらゆる業者の方への感謝を忘れたことはありません。さらにつけ加えるならば、『会計力、技術力、営業力』というビジネスの三要素が起業には必要だと思われます。具体的な夢を実現するために努力していけば、だれもがきっと新しい人生を始められると思います」続ける奥野さん。シニア世代への熱いエールで締めくくると、そばにいた明美さんが笑顔でうなずいた。最後に私が自らに課している三つの『K』をsundayzoop2024.12273歳になったいまも、まだまだ夢を追いかけ10時半から18時まで、日曜日は16時半までが営

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