エルダー2024年1月号
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て、残業してくれる人がありがたい存在であることは、私にもよくわかります。ですが「わが社はこれからどういう会社を目ざすのか」を考え、職場風土を変革していくためにも、会社のマネジメントを変えることが必要です。そのカギを握るのは管理職です。シニア、若者、男性、女性、あるいは働き方や勤務時間の長短に関係なく、それぞれの貢献に応じて評価していくこと。そうしていかないと、会社の将来はないということを管理職に理解してもらうことがまず重要です。最近は少なくなりましたが、シニア人材の処遇を考える際、60歳定年以降は一律に給与が下がり、評価も行わないという会社が少なくない時代がありました。働く側からすると、貢献度はみんな違いますから、定年後再雇用であっても、新しいことを学んだり、新しい仕事をしたり、若手を指導したりしているなかで、やはり「評価はしてほしい」という気持ちはあると思います。そういう仕組みを人事がつくっているかどうか。シニアの活躍推進を考えたとき、こうした仕組みづくりがやはりたいへん重要だと思います。管理職によるマネジメントが重要になるということは、管理職の育成・登用もまた大切です。例えば課長であれば、部下に働いてもらった結果として、課長に課せられたミッションを達成する。これが管理職の働き方です。営業課長なら、売上げ目標や利益目標があり、課せられた目標を達成するために、どういう営業活動をしたらよいかを考え、戦略を立てるわけです。課長自らが走り回ってその計画のすべてを実現するのではなく、その仕事を分解し、Aさんにはこの仕事、Bさんにはこの仕事、Cさんには……、と割りふって、それぞれの仕事内容の優先順位を理解してもらい、各自が持っている能力をフルに発揮して働いてもらう。その結果として、課長に課せられたミッションを達成するわけです。そういう意味では、管理職というのは、部下の働きに依存するものなのです。一般的には、担当職で仕事ができた人が主任になり、課長になっていきます。つまり、仕事のできる人が管理職になる。ところが課長になると、自分で仕事をするのではなく、部下に仕事をしてもらう立場になります。ここは大切なポイントで、つまり「担当職として優秀であっても、管理職の仕事が務まるとはかぎらない」ということもあるのです。管理職の仕事は、一人ひとりの部下にやるべき仕事をきちんと説明することが出発点になります。とはいえ、部下は簡単には理解してくれません。すると、「いわれた通りにやりなさい」といいたくなってしまう。これでは、部下の側からすると、理解できない仕事に対して「一生懸命やろう」とはなりません。は、「部下の役割支援」です。部下自身がになうべき役割を理解することです。2番目は、「部下の職業能力の維持、開発支援」です。部下が自分に期待された役割を実現するために必要な職業能力を保有しているか確認、能力が不足する場合は能力開発を支援します。3番目は、「部下の仕事意欲の維持・向上」です。りわけ3番目の「部下の仕事意欲の維持・向上」が重要といわれています。時代とともに仕事の中身が変わり、「1から10までやり方が決まっている仕事」ではなくなり、生産性向上のためにも、仕事のやり方を部下に変えてもらわなくてはいけないというケースが、少しずつ増えています。このような状況でのマネジメントにおいて、特に管理職に求められているのが「対人スキル」です。部下とコミュニケーションを取り、部下がどういう人で、どういうスキルがあって、将来どういう仕事をしたいと考えているのか。あるいは、仕事以外にどういう課題がある管理職の部下マネジメントの基本の1番目これら三つはいずれも重要ですが、最近はと多様な部下をマネジメントできる管理職の育成・登用を26      

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