高齢者雇用は、イノベーションのチャンスだと実感しています。当社の運輸部門で勤続46年、73歳の社員は「定年後は畑仕事や旅行がしたい」という理由から勤務時間を短くできる業務を新たに模索し、“トラック野郎”から“スクールバスのおじいちゃん”へと転身しました。彼はいま、子どもたちに囲まれて地域で活躍しています。このように、会社にとっても社員にとってもイノベーションとなった事例がほかにもたくさんあります。生涯現役でがんばり続けてもらえる組織を目ざして、今後も邁進する所存です。内田 高齢社員の「働き続けたい。だけど〇〇も大事」といった希望に、会社はどう応えていけばよいか。こういうことは多くの企業や団体が直面していることだと思います。その点を工夫して、会社にとってもプラスとなり、本人にとっても活き活きと働き続けることができているすばらしい事例ですね。内田 続いて社会福祉法人フェニックスの吉田さん、お願いします。吉田 当法人は岐阜県各かか務みが原はら市で、29カ所の医療・介護福祉事業所を展開しており、グループ全体で約540人が働いています。1988(昭和63)年に有床診療所を開設以来、いち早く訪問診療や在宅ケアを実践し、地域医療や介護の充実を推進してきました。どのような状況にあっても、質の高いサービスを提供し続けられる組織づくりが大事と考え、多世代、多職種からなる人財の支え合いによって生産性を高められる組織づくりを目ざし、「ダイバーシティ型の人財確保・育成・定着」に取り組んでいます。その一環として、「介護助手」という職務の創出や、介護ロボット、介護補助機器などを導入し、介護業務の機能分化と質の向上、負担軽減を図り、年齢にかかわらず活躍できる職場づくりを推進しています。当グループの定年は60歳、希望者全員70歳まで再雇用し、70歳以降も年齢上限なく継続雇用しています。全職員に占める70歳以上の割合は、2025年には、すべての団塊世代が75歳以 これからもカッコよく、時代のメインストリー上の後期高齢者となります。これを「2025年問題」として、社会保障制度の深刻な課題として取り上げられることも少なくありません。しかし、団塊の世代といえばつねに新しいことにチャレンジしてきた世代です。だからこそ、トを闊かっ歩ぽしていただきたいと願い、企業としてもそうした生き方を見習いながら、精一杯応援してまいりたいと思っています。内田 が広がるなかで、社会福祉法人における高齢者雇用はますます進んでいくと考えられます。同時に、フェニックスをはじめ、先進的な取組みが数多く見られるようになりました。そのノウハウが、全国の社会福祉法人に広がっていくことを期待したいですね。内田 お願いします。塩原 創業し、熱交換器用パイプの加工から、空調機器の加工・組立てなど徐々に業容を拡大。いまでは家庭用・業務用エアコンなどさまざまな空調機器に当社の製品が使用されています。を中心に活躍しています。最高年齢者となる83歳の社員は、手曲げ加工に従事し、経験を要する重要な仕事をになっています。て、定年60歳、希望者全員65歳まで継続雇用しています。65歳以降は70歳まで有期フルタイ高齢化が進み、社会福祉の受け持つ部分それでは、井上機工株式会社の塩原さん、当社は、1966年に静岡県富ふ士じの宮みや市で社員数は197人で、60歳以上の比率は34%、当社では、生涯現役職場を実現する制度とし〈社会福祉法人フェニックス〉職務の創出や介護機器導入で70歳以降も活躍〈井上機工株式会社〉多様な勤務体系で生涯現役職場の実現へ2914・0%となっています。最高年齢者は81歳です。70歳以上は約19%となっており、おもに製造部門
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