見すえ、労働力不足の時代にも耐えられる、パッチワーク型の人材活用のモデルをつくっていく必要があると考え、取組みを進めました。鈴木 当社では新卒の高校生を募集していますが、徐々に応募が減少しています。また、中途採用も厳しい状況となり、今後どのように人材を確保していくのかを模索し、地域の協力を得ようと考えました。そして、「人材を募集しています」と隣近所を一軒一軒訪ねることからはじめたところ、だんだん広まり、特に高齢者の方から多くの応募があって採用したことがきっかけです。内田 ありがとうございます。「今後を見すえて」というお話がありましたが、「将来予測はむずかしい」といわれる時代にあっても、例えば、今後の人員構成と業務の関係などについてシミュレーションをして備えていくということは、とても重要なことではないかと感じます。内田 続いて、60歳以降の処遇を決める際の基本的な考え方についてお聞きしたいと思います。小川 「再雇用の際に基本給を大きく下げる」といった考えはなく、定年後も人事評価を実施しています。「○○ができる、△△はできない」といった評価ではなく、本人の自発性や職務能力がより発揮できるような形で評価し、年齢にかかわらず社員のだれもが納得できる処遇となるように努めています。吉田 「同一労働同一賃金」を原則としており、定年後に基本給や職務手当が変わることはありません。賞与も59歳以前と同様に支給しています。気をつけているのは、仕事内容を明確にして、その内容と実績に応じて処遇を決めていく、ということです。契約更新の際は、健康状態も確認して仕事内容と処遇をあらためて明確にし、納得してもらい決めています。塩原 60歳定年後の嘱託社員の賃金制度は月給制、日給月給制、時間給制があり、月給制については、継続雇用を希望する際の面談で本人の意向を聞きながら業務内容や役割、勤務形態を決め、スキルの保有状況などに応じて個々に契約しています。65歳以降の有期雇用社員は、時間あたりの生産性、部門別・個人別の評価制度などにより金額を決定しています。内田 評価し、フィードバックすることは大事だと思います。定年後も会社はきちんと見ていて、働きに応じて処遇を決めている。そういうことは、若手や中堅の社員も見ていますから、そうしたことが高齢社員に対するほかの世代の姿勢や信頼感にもつながっていくと思います。内田 効果や課題についてお聞かせください。小川 えを感じにくくなっている、という印象があります。仕事を通じて地域とかかわる機会が増えると同時に、地域の人々から感謝されることを通じて、地域の課題に興味を持ち、貢献の思いが強くなったり、地域に誇りを持てるようになったりしたことが大きな要因ではないかと思っています。吉田 マニュアルづくり、職場の整理整頓を進めてきありがとうございます。やはり、貢献を次に、高齢者雇用がもたらした想定外の社員自身が、年齢による気力や体力の衰高齢職員にとってわかりやすいルールや基本的な考え方とは高齢者雇用がもたらした想定外の効果や課題31社会福祉法人フェニックス 地域共生社会推進室長の吉田理氏60歳以降の処遇を決める際の
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