た結果として、「だれにとっても働きやすい職場環境が整ってきた」という声があります。また、「介護助手」として働く高齢職員が増えてきたことで、「歳をとって介護の仕事ができなくなっても、次は『介護助手』の仕事があるので、長く仕事を続けられるから安心だ」と、若手・中堅世代の職員が自分たちの高齢期の働き方を前向きにイメージできるようになってきました。とても大きな効果だと思います。課題としてはやはり、転倒防止や腰痛対策などへの配慮です。鈴木 他社を定年退職した後に入社した高齢社員が多くいますので、当社では経験ができないそれぞれの経験を、若い社員に話してくれることがあります。課題としては、労働災害の発生リスクが高くなっていることがあげられます。内田 高齢になると体力や気力が変化するという問題がよく聞かれます。そこで、高齢者が無理なく働けるために取り組んでいることをうかがいたいと思います。小川 当社では、60歳を超えると働く日数、時間、職務などを自由に選択できるような体制を整えています。それぞれの希望をヒアリングして調整し、着地点を見つけています。小川商店と一緒で、ニーズに応じた働き吉田 方を選択可能としています。また、作業環境の改善を実施しました。鈴木 毎日のラジオ体操をはじめ、毎月の安全衛生委員会では各職場の代表が出席し、問題があればその場で解決策を話し合うことを徹底しています。内田 ありがとうございます。では、高齢者の労働災害防止で特に気をつけていることは何でしょうか。小川 高齢者雇用の推進をきっかけに、これまで以上に社員の健康管理と安全教育の徹底に注力しています。ヒヤリハットの情報共有はもちろん、ひと声かけたときの応答の様子から、その変化を見逃さないコミュニケーションのとり方も大事にしています。吉田 て、介護補助機器などを導入しています。また、だれもが働きやすい職場環境の整備点検を毎月実施しています。ふだんの健康増進支援として、当法人のフィットネスクラブの利用を職員にうながし、費用の一部を助成しています。鈴木 ず、小さいものも含めて、起きた場所、原因を各職場の上長に伝達し、二度と発生させない対策をすぐにとるようにしています。また、3年前から年間休日を大幅に増やし、メリハリのある働き方ができるようにしました。内田 ですが、顔色や口調などの変化を日常のなかで見逃さないということも、とても大事なことですね。内田 年齢者雇用安定法では、70歳までの就業確保措置を講じることが企業の努力義務となりました。みなさんの職場ではすでに70歳までの就業確保の取組みが行われているわけですが、より充実させるための、今後の高齢者雇用推進の方向について、小川さんからお聞かせください。介護業務の負担を軽減する取組みとし労働災害防止対策は、高齢社員にかぎらありがとうございます。ちょっとしたこと2021年4月1日に施行された改正高高齢者が無理なく働ける仕組み今後の高齢者雇用推進の方向32井上機工株式会社代表取締役の塩原勇一氏
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