■■■■■プランナーの提案後、「定年なし」に制度を改正伸び盛り世代の指導とその成長に喜びを感じる一面です」(榎木田専務取締役)谷口プランナーは2020年10月に同社を初めて訪問しました。その翌月11月の再訪問の際、「65歳への定年の引上げ」および「65歳以降70歳までの再雇用制度の導入」を提案しました。谷口プランナーはこの際の助言について、次のようにふり返ります。「特に65歳以上の高齢社員の役割は、次世代社員への経験や技術・技能の伝承ならびにOJTでの能力引上げ、チーム業績への具体的な実務貢献、仕事と家庭の両立支援での代替実務貢献ととらえています。また、施主と一生涯おつきあいするハウスメーカーにとって、高齢社員の年齢と経験は武器であり、人材が中心の中小企業では有効かつ有用と助言しました」同社は、谷口プランナーが訪問した翌年の2021年4月に、就業規則を改定し、定年制の廃止という、プランナーの提案を超える決断をしました。「訪問後、経営陣が協議し、顧問の社会保険労務士に規定案を相談したそうです。事前に規定案を拝見したところ、定年引上げどころか定年制の廃止にふみ切られていたのには驚きました。宮崎県において住宅着工戸数ナンバー1を実現した若手経営陣の意欲が、高齢者雇用の推進を後押ししているように感じています」(谷口プランナー)今回は、ベテラン社員2人と、一緒に働く社員の方々にお話をうかがいました。営業統括部長の川■島■俊■一■さん(68歳)は、46歳のときに丸商建設に入社しました。川島さんは、ホテルのレストランからキャリアをスタートし、喫茶店を個人経営した後、ファッション業界に転職、世界的な有名ブランドを扱う会社で国内数店舗を統括した経歴があります。「不動産業界に転職し、衣・食・住のすべてを網羅しました」と穏やかに語りますが、不動産業界はまったくの素人であったことから、はじめは苦労の連続だったそうです。「お客さまは人生で一番高い買い物をするわけで、満足してもらうのはたいへんです。業界用語も多く、経験がものをいううえに、自分より若い先輩に教えてもらい、叱られるわけです。ですが営業職は契約件数がすべて。反骨精神をバネに契約件数を上げました」とふり返ります。何を隠そう、川島さんは会社の規模拡大に寄与してきた「伝説の営業マン」。「営業職は会社に属してもいわば個人商店。自分のとった契約でどんどん会社が大きくなるのも醍醐味です。そのやりがいを若手に伝えていきたいです」と力強く話します。川島さんは2023年8月から現在の役職に就きました。榎木田専務取締役は、その理由について「以前から若手への指導を行ってもらっていましたが、あらためて役割を明確にしました。後進に川島さんのノウハウおよび当社の考え方を伝承していただきたいです」と話します。教育係としてのやりがいを聞くと、「30〜40代は家庭を持ち、仕事で伸びようとしている年代です。サポートしてきた若手や中堅社員の営業成績が伸びるとすごくうれしいですよ。これからも会社の魅力を後進に託していきたいです」と話します。2024.136談笑する川島さん(左)と石川さん(右)。雑談のなかにも営業のヒントが多くある
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